アクアマリンが望むカタチ

蒼(あおい)

アクアマリンが望むカタチ

あなたがどんな愛のカタチを望むのか…。


良い関係が続くように、私はただそれを願うだけの人さ。


上手く会話や、コミュニケーションがとれるように、君にちょっとしたアドバイスをするだけだから。


永遠の愛ってものは、お互いに寄り添って、良い所も、悪い所も知っていかないと。


大きい夢を描くのは何も悪い事ではないけれど…それだけじゃ、長くは続かないから、心に留めておいてね?





彼氏・彼女の関係と、それが夫婦になった時とでは、同じように見えても、違ったりするものさ。


急に冷めてしまう…なんて事も、中にはあるからねぇ。恋愛って中々に難しいものなんだよ?


苦楽を一緒に乗り越えていく…さながら、ゲームの様なものかな?…って言ったら、君は怒るかもね。


結婚するのは、簡単だよ?…するのはね。でも、やり直しは、効かないんだ。…それこそ、ゲームの様にはいかないから…。


これは、私個人的な意見だから。私の言葉を聞いた君がどう思うかは…お任せするよ。





寂しいって感じた時、人によっては、好きな人だったり、大切な人だったり…。


周囲の誰かを想像しない?私は想像するよ。その人の声だったり、


姿だったり、想い出だったり…。そうしている間だけは、ちょっとした・・・ほんの小さな幸せに浸れるんだ。


思い出しながら、笑ったりして…ふふっ、ごめん。また思い出しちゃった。


そんな幸せが、ずっと続くと素敵な関係だよね。





たとえ、夫婦の危機が訪れたとしても、私が魔法で仲直りをさせてみせよう。


調整役…といった所かな?面と向かって言えない時は、私に相談するといい。


伝えたい事って、大切な人ほど、思うように言葉が出てこなくなるものだからさ…。


手伝わせてよ。君がこれからも素敵な人生を歩んでいけるように。


特別な事とか…出来るわけじゃないけどね?…いいでしょう?







『なかなか素敵な考えをお持ちですね。そういうの私も好きですよ?』







賑やかな街並みを離れ、空と海が一つになる景色を眺めながら、自然と言葉を零していたのだろう。


濡れた砂浜を無邪気に歩きながら、一人の女性が声を掛けてきた。





『願いへと近づく為には、失敗を繰り返す事です。成功だけでは辿り着けませんよ?』


『のんびり、焦らずに行きましょう。…ね?』





「早まった言動や行動は、余計な誤解を生みかねないからね。…確かに。何だか貴女とは気が合いそうだ。」


「人は、失敗する毎に必ず成長する生き物です。一人で抱え込むと、いつかは壊れてしまう…。」





『普段の行動や言動から、心に秘めたメッセージがあるはずです。』


『変化に気づくことが出来れば、幸せに近づく一歩になるかもしれませんね。』





「綻び(ほころび)が出てしまっては、手遅れになってしまうからねぇ…。」







満月が顔を出し、気づけば辺りは一段と静寂に包まれていた。


磨かれた宝石の様に私達を照らす月を見上げながら、遅い自己紹介をした。


ムーンストーンを身につけたその女性は、とても不思議な存在だった。


ここで巡り合えたのも、何かの縁…だったのだろうか?







『モンストンピアルっていうの。不思議な名前でしょ?』







優しく微笑みながら、私に手を差し伸べた。


それに応えるようにして、彼女の手を取り、ゆっくりと、口を開いた。


…自然と私も笑顔になっていた。







「よろしくね。私は、クアム。誰かの影役者になりたい、変わり者だよ。」







ラテン語で、”海の水“。


そんな意味を持つ宝石を、私はイヤリングとして身につけている。


恋に悩む、声なき声を聞き逃さない様に。


更なる誰かの幸せを、聞き届けられるように…。


恋愛事は、魅力と魅惑に溢れている。


薬にもなれば、毒にもなる…。


とても興味深いものだよね。


ロマンスの研究者…って言っておこうかな?





私は、あなたがどんな愛のカタチを望むのか。


冷静に、そして的確に君にアドバイスをしていくよ。


それを実行するかどうかは、君次第………だからね。


船乗りに恋をしたにんぎょの涙は、誰の元に届くのかな…?



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アクアマリンが望むカタチ 蒼(あおい) @aoi_voice

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