みちのく四季彩

篠川翠

みちのく四季彩

雛菊ひなぎく焦土しょうどはたに残りをり


紅粉べにこ苗代水なわしろみずの鏡かな


からむしや蒼穹そうきゅうに手を伸ばしをり


牛飼いの声朗々と夏の原


南部駒トロット軽き麦嵐


神嶋かむしま南風はえに乗りたる翼かな


中村に馬駆け回る大暑の日


阿弖流為アテルイむすひ伝ふる蓮の花


鳥海ちょうかいの風に吹かれて青田波あおたなみ


指先に黄金こがね咲きたる紅の花


裾廻すそわよりあけいざなふ秋の嶺


西のの異郷の扉秋の虹


みちのくの霖雨りんうに揺るるむら薄


諸手もろてより筵溢れる冬近し


鴛鴦えんおうや独りごちたる池の畔


からころとまさる手にする去年今年こぞことし


霧氷林むひょうりん猫魔ねこまの息も潜めをり


古刹こさつ背に散華さんげと見ゆる斑雪はだれかな


静寂に木の根きけり裏の山


桜東風さくらごち勿来なこその関を越えたるや

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みちのく四季彩 篠川翠 @K_Maru027

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