第19話 選択

あれから5年、今では普通に友達として、

るいと生活している。友達として…

お互い、こんなに割り切れて生活しているとは…


不思議だ、男女で親友。昔は成り立たないと

思っていたが今は確信持って成り立つと言える。 

普通すぎて今では居ることを忘れる時もある。


るい、もうここに慣れたかな?この世界での生活。 

そろそろ玲奈との再会の年、待ちに待った。

その時にしっかりとるいのことを説明出来るか?

何とかするしかない、もし玲奈が解ってくれない

時は…いや、どうしても解ってもらわないと。


【涼ちゃん、悩みごと?思い詰めてる感じ】


るいが、真剣な表情で言ってきた。るいは必ず、

目を見てくる。何の警戒心もなく。

俺だから、何とか理解できるけど…


そこらの男には駄目だぞ。るい。


【るい、あのさ、この世界で好きな人出来たら、

その時はどうする?いや、もしもの話。俺がその、まぁ、何というか、玲奈とさ、知り合ってさ、えーと…好きになって…】


【涼ちゃん…まわりくどい!大丈夫、その頃は私も好きな人出来るように、もう、強引に作っちゃう!】


るいが、笑顔で伝えてきた。


それも駄目ーーー!しっかりと将来性のある男ので

ないと駄目!ん、そういう男なら認めること

出来るのか?


可愛い娘を持つ、父親的な気持ちだな。

玲奈とるいと一緒に生活出来ないかな?

真剣に何とか考えて見よう。玲奈にどう伝えよう?


難しいよな、実際。るいってかなり可愛いもんな。

余計に難しい…複雑過ぎて。


玲奈の家庭も複雑、幼少期に両親が離婚して、

さらにその後、聞かないようにしていたが、

あまり親のこと離さない。だから、前の生活では

付き合っても玲奈の親には会っていない。

玲奈の母親にも会っていない、何かあったとは

思うが、聞かないことも優しさと思ったからだ。


確か、玲奈には先に結婚した妹がいた。

その妹とは会ったのは、結婚式はせず本当の

気の緩せる友人達だけでの結婚パーティー。


その妹からも家族の話は聞いていない。

玲奈の家族は知ってる限り妹だけ。

それはこれからも聞くつもりない。幸せにするのに

特に関係ないし、何の影響も無いからだ。


その分、玲奈は友人達には恵まれている。

玲奈のこと親身になって真剣に考えてくれる

親友がいる。その親友に玲奈のこと幸せに

しなかったら、絶対許さない、呪ってやる!!って

言われたこと、あれは恐かった!


だからだよな、辛い幼少期を経験してもあれほど

明るく、幸せに、生きてこれたのは。


俺も友人達には感謝すること多い。困ったとき、

こいつがいた良かったと思える友人こそ親友って

いうんだ。数少なくてもさ。


るいもその一人だよ。そして娘のような…

やはり複雑だ。うまく説明出来る自信無くなった。


【涼ちゃん、今日ちょっと付き合って】


【どっか行くの?天気もいいし、明日も休み

だから、それもいいね】


るいは、楽しそうに出掛ける準備してる、

本当はもう恋人いてもおかしくない。

ルックスからいないほうがおかしい…


この世界だと恋人作りづらいのかな?


【行くよ】


どこ行くつもりだろう?とりあえずついて行く。


アウトレットか、何するんだろう?そうか、

ファッションに興味あるか、普通。

気が付かなくてごめん。るい。


近場で済ませていた。ファッションに無関心の俺、

よーし、るいにとことん付き合うぞ。


るいは、メンズのほうに、ちょっと、なんで

方向違うぞ。


【んー、これは違うかなー】


【これならいいかな、ボトムはー、これ】


【スニーカー、ブーツ、やっぱスニーカー!】


次々と選んていく、これは、俺の?

誕生日でない、なんでだろう?


【ちょっと、これ着てみて】


試着室へ強引に。とりあえず言われた通りに、

着替えてみた。お〜似合ってる!


【どう、るい!】


どうだ、似合ってるだろー!


【違ーう!ダメ、ちょっと待ってて】


えー、似合ってない?駄目なのー。いいと思うんだけどなー。


【はい、これ!はぁ、はぁ、、】


そんな息切らして、これでいいのにな。

とりあえず着替えた。もー面倒だなー。

これも何かいいとは思うけど…


【これでどう?】


【んー、何か違うな、次の着て!】


また着替えた。面倒だよ、ほんと。

あっ、これしっくりくる。いいね。

でもダメ出しくらうかな?


【るい、これは?どう】


るい、満面の笑み!


【うん!これで行こう!バッチシ!】


るいが喜ぶのが嬉しかった。そういえば5年以上、服、買ってない。じゃ、次はるいの選ぼう!


【じゃ、次は、るいのを買おう】


【私のはいいの】


【なんで、駄目だよ。買おう!】


【いいの、それより行きたい場所あるから】


【どこ?とりあえず行くけどさ】


その途中、素敵なネックレスに目がとまる。

これ、似合うよな。るい。よーし黙って買おう。

高いけど、これ似合うと思う、たぶん。


【るい、ちょっとトイレ】


【待ってる、ここで】


バレないようにネックレスを買った。ラッピングとか時間ないからそのままで。


【遅いよ、どこまで行ってたの?】


【ごめん。大きい方】


【…………手、洗ったよね!】


オブラートに包んだが、駄目か。

まぁ、仕方ない。


【早く、時間ないよ。急いで!】


着いたのは見たかった大人気アニメ映画。

こういうが趣味か。そういえばこんなことに

気にせずに、普通の生活していたけど、

楽しみも必要だったね。何から何までごめん。

映画を見て、屋上の展望デッキに。凄く快適!


【るい、なんで服買ってくれたの】


【感謝!ってのはウソ。玲奈と会うのにダッサイ

服しか持ってないじゃん。生活費私がいたから増えていたでしょ、私がバイト始めたとしても】


【大丈夫だよ、そんなこと気にしていたの?】


【あと、感謝ってほんとはあるよ、涼ちゃんの

おかげで今、とっても充実してる。

毎日が楽しい、とっても幸せ!】


るい…そんな、俺がいうべき言葉。

ほんと、優しいなー。


【るい、おいで】


俺は両手を広げた。


【だから、そういうのは、駄目だから】


もうー、じれったい。人も少ないし、いるのは

ほとんど人恋人同士だから気にしない。

俺はるいを包み込んだ。


【涼ちゃん…だからさー、こういうのは、えっ、何これ?】


さっき買ったネックレスをそっと付けた。

るいはびっくりしていきなり離れた。

気に入らないのかな?失敗したかな?


【………………ありがとう、涼ちゃん……】


うん。似合ってる!凄く。俺のセンス最高!


【涼ちゃん。欲しかったのなんで解ったの?】


えっ、?欲しかったの。凄い偶然。俺、ナイス!


【涼ちゃん…今日のこと、忘れない】


大袈裟だなー、るい。確かにちょっと使ってしまった…が。飲みとか、昼飯とかで調整すれば大丈夫。


【涼ちゃんー、大好き!】


おい、!ちょっとちょっと!どうした、るい!

周りに少ないけど、人いるぞ。待て待て待てー。

るいが俺に飛びついて、抱きついて離れない。


【涼ちゃん、ごめん。今だけ涼ちゃんの彼女!】


るい、泣いている。声を出さずに、るいの涙が、

伝わってくる。

 

慌てていた俺も冷静になった。5年も過ごして、お互い支え合って、最高の友達と割り切っていた。


割り切っていた…

割り切っていたはずなのに…

恋人じゃなく、友達だと…


無邪気な、るい。見ていると切なくなる。


いや、駄目だ。俺には玲奈が。

まだ出会ってないが、るいが選んてくれた服で、

玲奈との未来を作らないと。


【涼ちゃん、すっきりした。ありがとう】


るい…ごめん。


【また、最高の友達としてよろしくお願いします】


健気だなー。俺まで辛くなる。


【もちろん、最高の友達、いや親友だ】


【何か美味しいの食べたい…涼ちゃん奢って!】


【もちろん、服選んでくれたからね、当然】


これでいいんだ。選択は正しい!自信持て。


ただ、来月ピーンチ!昼抜きで凌げるのか?




















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