6-5 イタリア料理店にて

 それから僕ら三人は、ランチを一緒に食べることになった。イタリアンが食べたい、とくるみが云うので、駅前のイタリア料理店へと僕たちは向かった。


「カナタ君、写真は今も続けているの?」

 三上さんの問いに、僕は即答した。

「モチロンさ」

「今、何を撮っているの? やっぱり、お花とか?」

 三上さんの問いに、僕は首を振った。


「いや、最近、ブライダルの方の仕事をはじめたんだ」

「テツローさんの実家の、山田写真館?」

 三上さんが、記憶をたどりながら、質問を重ねる。

「いや、近くに『フォトスタジオ 前田』という店があって、そこの仕事なんだ」


 僕と三上さんが話をしている間に、パスタが運ばれてきた。僕は、ボンゴレ・ロッソ、くるみがチーズ・パスタ。三上さんは、シーフード・パスタを頼んでいた。



「もう少ししたら、就職しようと思っているの」三上さんが告げた。

「へぇ、どんな仕事に?」くるみが問いかける。

「私、フリーペーパーのライターをしてみようかと思って……」

「すごいね、三上さん」僕の言葉に、三上さんは少し頬を赤らめた。


「そんなに大袈裟なことじゃないんだケドね。わたし、自分の力を試してみたいの。将来、物書きになりたいんだ」

 三上さんはそう言って笑った。

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