タイムカプセル

健さん

第1話

俺の名は浦島たかし。3月31日をもって長年勤め上げた会社を定年退職した。同級生らは給料は、半分近く下がるが、そのまま、その会社に残るヤツもいれば、俺と同じで、”毎日が日曜日”のヤツもいる。今は、5月で、会社をやめて、もうかれこれ1か月ちょっと経つが正直”暇”。最初の1週間は、ウキウキな気分で、過ごしていたが、もう今では、死ぬほど時間を持て余してしまう。やはり、仕事は、やらなければと、思ってしまう。”働かざる者食うべからず”だ。まだ、俺が現役時代、休日の日。たまに近くの図書館に行った時の事。イスに腰掛けている集団がいて、しかも高齢者。まるで、ここは老人ホームか?と思ったほどである。多分、今の俺のように定年退職して時間を持て余してここで時間を潰しているようだ。見ると、ある人は真剣に分厚い本を読んでいる者もいれば、新聞広げて(家で見ろよ)いる者もいる。また、鼻に、ちょうちんつけて、気持ちよさそうに、寝ている者もいる。今となれば、まさかこの人達の仲間入りしてしまうなんて、、、。ならば、仕事しろよ!って言われそうだが、、。わかってます。やりますとも。今すぐじゃないけどね。まだ少し遊ばせてね。もう愚痴言わないから。でも、こんな僕ちゃん、雇ってくれるところあるのかしらん。そして、この夜、”仲良し3人組”で行きつけの居酒屋へ。仲良し3人組の内訳として、この2人は、小、中学校の同級生で、1人目の名は織田桃太郎。元刑事。もう60だというのに、今だに髪はフサフサでリーゼント。(横浜銀蝿か?古いな。)常日頃から、暴力団相手の仕事だったためのようだ。舐められるから?必然的に強がっていなければいけないってわけだ。織田も俺と同じ”プータロー”。もう一人は、木下藤一郎。サルみたいな顔をして、頭がきれる。元銀行員だ。木下は、植木職人めざして、植木剪定の仕事をしてもっぱら現在修行中だ。「木下は、いいよな。目標があって。」と、織田。「お前は、何かやりたいことないの?」と、すかさず木下が聞く。「特にないな。俺もさあ、警察の仕事してただろう。たとえば、ビルの掃除とかで、便所そうじなんて、できねえよ。仕事っていっても、こうゆうような職種しかないだろうし。」と、少しぶっきらぼうに言う。「織田、お前いい加減プライド捨てなきゃ今後仕事ないぞ。」と、俺。「ならば、お前は、何かやりたいことあるのか?」と、やや、不貞腐れ気味で織田が言う。「特にないよ。ただ、俺らは、仕事を選べる立場ではないし、なりふり構わず、雇ってくれた職場で、頑張るしかないだろう。」俺は、コップに半分残っているビールを飲み干した。そして、新たに、コップにビールを注ぎながら言った。「話違うんだけど、最近小、中学校の同窓会ないよな。」「そうだな、言われてみれば、しばらく出てないな。俺は、去年高校のは、出たけど。」と、ポテサラを、食べながら、木下が言う。「みんな、じいさん、ばあさんになってるだろうな。」と、織田が言う。木下が思い出したように「そういえば、浦島が、好きだった女いただろう?えっと、、そうそう、美奈子だ。彼女、2年前にガンで亡くなったらしいぜ。同級生本田から聞いたんだけど。」「そうか、亡くなったのか、、。なんか、みんなに会いたくなったな。」と、俺。「だったら、お前が幹事で同窓会やればいいじゃないか。」と、キムチをつまみながら、織田が言った。「そうだな。やろうか!あっ!そういえば俺さ小学校の校庭に鉄棒が、あったろう。あの裏辺りに実は、”タイムカプセル”埋めてあるんだよ。」「へえ~、何を入れたんだよ。」と、織田。「いやあ、大したものは入れていないが、当時のおもちゃとか、少年ジャンプ、ウルトラマンのメンコとか。埋めてかれこれ半世紀近くなるんだな。もう全部溶けて土になってたりして。」すると、木下が、「同窓会やる前に、俺たちで、その”タイムカプセル”堀に行こうぜ!」3日後、俺たちは、母校の小学校に行き、校長先生に、タイムカプセルを掘らせてほしいの旨を話した。すると、喜んで快諾してくれた。そして、そのあと、日曜日に俺たち3人と、土木業を営んでいる同級生の武田にも来てもらい、ショベルカーで、掘ってもらった。鉄棒の裏にいる。(そんなに、深くは埋めていないと思うのだが、、)武田は、しばらく掘っていると、「おーい!!浦島、何か見えてきたぞ。俺たちは、スコップで、廻りを掘り進めた。んんんん、、何か”箱”が、見えてきたぞ!さらに、掘り進めていく。すると、おっ!!ついに出てきた。その”夢の箱”は、みかん箱より、少し大きめの段ボールの箱で、土と、水で、薄くなってはいるが、よく見ると、仮面ライダーが、描かれている。(おー!!懐かしいなあ)と、一同。すると、せかすように、武田が「おい!浦島、早く開けてみろよ!」そして俺は、箱の近くまで行き、(もう、心臓”バクバク”だ。)そして、ゆっくりと開けてみた。すると、わああああ!!辺り一面煙で、霧の中に入ったみたいになった。しばらくすると、その”もや”は、消えて、廻りが、見えるようになった。(あれ!?浦島は、どこだ??)すると、どこから来たのか、小学生の5,6年の少年が。その少年に織田が、聞く。「ぼく、60歳ぐらいのおじさんみなかったかい。」すると、その少年は、言った。「俺だよ、俺!」。

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