第22話 ぼっち、ゴーレムダンジョンに潜る 2
これはまだ試作型だけど、そのうち武装の追加や換装もできるようにする予定だ。
今の課題は発射までに一秒未満のラグがあったから、これは要修正。
ホバリングはほぼ問題なし、バーニアはやや出力が弱い。
試作型が完成すれば、あとは加速的に開発できるはず。
あぁー帰ったら楽しみ!
今は3層目だけど、試作型の所感はわかったから無理に潜らず切り上げようかな?
『ゴーレムダンジョン制覇する?』
『ここまできたらしてほしいw』
『あのクソ堅いゴーレムが粉々にぶっ飛ばされるのがたまらんw』
『友達がここのゴーレムにやられて怪我したので爽快ですw』
う、これはダンジョンボスに挑まないといけない流れだぁ。
でもここの宝箱に入ってるアイテムはどれもなかなか手に入らない鉱石ばかりだから魅力的なんだよね。
自作のアイテムポーチがあるから、たくさん収納できちゃう。
足りてなかったクラフト鉱石を手に入れたから入れよう。
「クラフト鉱石は重量を軽くする不思議な鉱石なので、重い装備なんかの関節部に使われるんです。これは近年着目された使い道としては」
『そのアイテムのポーチ? みたいなのが謎……』
『さっきからホイホイ鉱石を入れてるけど制限ないんか?』
『無限収納とか?』
『ねーよ。そんなもんあったら全探索者が涙目だわw』
『あのぼっちちゃんだぞ? やりかねんぞ?』
やっぱり誰も聞いてない!
それよりこのアイテムポーチが気になるのかな?
「こ、これは……えーと。質量問わず、い、今は最大400個のアイテムなら入ります……はい」
『は?』
『なんて?』
『えぇぇぇ』
『うせやろ?』
『何を言ってるのかわからない』
え、なんでなんでなんでぇ!?
探索者ならこれくらいのアイテムがないと探索にならないよね?
あれ、でも切音さんはどうしていたかな?
ヒヲリさんは?
「これ、そんなに……すごいです?」
『逆になんですごくないと思ったの?』
『 超 文 明 』
『最大手の最新型アイテムボックスでさえ最大50個やぞwww』
『四次元ポケット?』
『ぼっちちゃんって未来からきたの?』
な、なんか試作型よりこっちのほうが興味もたれてるぅ!
嬉しい、嬉しいけどなんか複雑!
探索者の配信を見ていた当時は他社の魔道具を気にする余裕なんてなかった。
そうか、私のアイテムポーチってすごいんだ。
皆にそう言ってもらえて、心がフワフワした感覚になる。
「よ、よし! このままダンジョンボスに、い、挑みますっ!」
――ズゥゥゥン ズゥゥゥン
奥から何かが歩いてくる?
一定の間隔で響くこの轟音はたぶん足音、だよね?
逃げたほうがいいかな?
「あ、あぁ……」
『あ、あれって』
『ネームドモンスターやん……』
『竜腕の岩窟王wwww』
『ぼっちちゃんあれは無理だ逃げろやばい』
『二年前にB級ギルドを壊滅させたA級ネームド! お前らさすがに戦えとか煽るなよ!』
『いやぼっちちゃんってS級仕留めたやろ』
広い洞窟内をノッシノッシと歩いてきたゴーレムは四階建てのビルくらいある!
腕が竜の鱗みたいな岩に覆われていて、平べったい目が赤く光った!
「あ、あ、ああ、えーきゅーは、きーてないぃ……」
『ぼっちちゃんファンクラブ会長:教えた動きでおk(*^-^*)』
『なにわろてんねん』
『会長さすがにそれはおかしい』
『教えた動き…?』
魔王先生のコメントが見えた時、恐怖が消えた。
そうだよ、私はこのために訓練したんだ。
自分が作った試作型だけでどこまでやれるのか、興味が湧いてきちゃった。
「い、いきまぁーーーす!」
『いくのかよw』
『ぼっちちゃんを思ってるなら他の奴らも止めろよ!』
『フレアライフルでぶっとばせぇぇぇ!』
竜腕の岩窟王が拳を連発してきた!
地面がボッコボコにされて爆発でも起こったみたい!
「ホバリングっ!」
『壁をwww』
『なんやwwwあれwwww』
『縦横無尽すぎるww』
そう、このブーツのホバリングは一瞬だけなら壁を歩ける!
それから頭部をめがけて!
「フレアライフル発射!」
竜腕の岩窟王に着弾して爆発が起こったけど、さすがに一発じゃ無理!
二発目、三発目を足に撃ちこむ!
こういう相手との戦い方も教えてもらったから!
狙い通り、足を破壊!
「フ、フレアバズーカより威力が落ちるのが課題……!」
『すげぇぇぇぇ!』
『巨体の足を狙うのは定石だけどあんなに的確にあてられるもん?』
『やっぱり戦闘兵器やでぼっちちゃん…』
足が壊されてもゴーレムは痛みを感じないよね。
だからそのまま強引に拳をまた連発してくるからホバリング回避!
いけるいけるいける!
このまま止め――
「あっ……のぼりすぎ……た……」
『天井は無理やろ』
『落ちるって』
『おおおぉぉぉい!!!!』
勢い余って天井までホバリングしちゃった!
ああああぁぁぁあぁ!
真下にいる竜腕の岩窟王にイチかバチかぁぁぁ!
「いきいきいいいききまぁぁーーーーーー!」
ひたすらフレアライフルを連発すると爆発が起こっちゃった!
爆風で私の体がふわりと浮いてから、投げ出されるようにして落ちる!
「ああああライフララライフルウゥーーー!」
『もうメチャクチャや』
『ぼっちちゃん錯乱してるやん!』
『いやでもこれ爆風で……』
「ぎゃんっ!」
撃った反動と爆風に助けられて、地面に優しく落ちたみたい。
それでも痛い。
試作型、壊れてないかな?
「お、落ちた衝撃で試作型が、こ、故障したみたい、です……。はっ!? それよりネームドは!」
見ると竜腕の岩窟王がバラバラになって散っていた。
腕や頭の破片らしきものがあるから間違いない。
と、とにかく勝てたみたい。
「と、討伐完了、ですね」
『おいおいやっちまったよ……』
『ギャグ漫画みたいな落ち方してたよw』
『やったぜぇぇぇぇ!』
『ミッションコンプ!』
『おめでとぉぉ!!!!』
『クッソはらはらする戦いだったw』
『今きた。どうなってる?』
『竜腕の岩窟王が木っ端みじんになったよ』
『おめでとうございます。息子が大怪我をさせられた相手なのでスカッとしました。本当にお疲れ様です』
『ぼっちちゃんファンクラブ会長:95点(*^▽^*) 今度、残り5点の戦い方を教えてあげるね(/・ω・)/』
すんごいコメント量!
しかも同時接続人数が6万人超え!
ほんの一瞬だけ見えたけど魔王先生が褒めてくれた!?
「こ、こちらこそ、あ、ありがとうございます……。ちょっと休みますね……」
『いや、もう帰ったほうがいい』
『無理はあかんで』
『ちゃんと止めてくれるんよな、ここのリスナー』
『スーツ壊れたよね?』
『いや、さっき煽っとったやんか』
「あ、スーツのことなら、だ、大丈夫です……」
アイテムポーチから修理キッドを取り出した。
多少の故障はちゃんと想定していたし、この程度なら直る。
「ちょっと待っててくださいね……」
『…直るの?』
『またまたご冗談を』
『俺達は何を見せられているんだ?』
『これ絶対各企業から引っ張りだこだろwww』
『今日だけで情報量が多すぎて理解がおいつかない』
驚かれてるけど、魔道具が壊れたら修理するのは当たり前だよね。
探索者だって使ってる魔道具が壊れたらこのくらい修理してると思う。
してる、よね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます