第21話 御伽噺3

光彦はアリルをやさしく

抱き上げたまま

今までの思考を終了させた。

アリルは本当に綺麗で可愛い。

アリルを愛してる。

ちゃんと思いを伝えたいな。


優しく優しくアリルの頬を撫でる。

まだ目覚めてくれないのかな。。。

本当に愛おしい。

今までのアリルとの記憶が

よぎってゆく。


そして大切なものを優しく包むように

静かに口づける。

優しく優しくそして離すことなく。


ご主人と口づけしている灯火を

見つめる。

あらら、ご主人に同意を取らずに

キスしてるよ。

まぁパートナーだから

おかしくはないと思うけど。

今までキスなんてした事

ないんじゃないかな。

静かなラブシーンを見せつけられて

スカウトはため息をつきたい

気分だった。


彼女は探す。

彼の手伝いをする為に

騙していた何人もの被害者のSNSにも

手がかりを探していた。

彼女もある意味、

病んでいるのだろう。

人を騙すことにより自分を

形成してきたのだから

心の奥にある良心に徐々に毒されて

来たのだろう。


アリルは眠りながら柔らかなものを

感じる。

そこから染み入ってくる温かさに

ロジックが満たされてゆく。


・・・更新条件フラグ確認

・・・AEEアップデート開始

・・・更新データ取得完了

・・・自己診断シークエンス開始

・・・心核システム取得完了

・・・心核データ取得完了

・・・自己修復シークエンス開始

・・・システム更新準備完了

・・・システム更新開始

・・・AEEアップデート完了

・・・AEEシステム呼称名【アリル】再起動します。


私はしずかに瞼を開く。

今までに経験がないくらい近くに

灯火がいる。

灯火は泣いているのだろうか

私の頬が濡れているようだ。

・・・

・・・

え?


アリルは自身の過去ログを走査する。

更新プログラムが起動した形跡が

ある。

もしかして、もしかして・・・


キスされてる?!

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