第9話 日常変革

今日は営業資料の作成が先だなぁ

比較的整理された席のPCを起動する。

表計算も最近はAI補助がついて

便利らしいけれど

私はそこまで使いこなせないし、

自動化プログラムも素人だ。

関数を駆使して人並より少し

早い資料作りは出来ているが

後輩達にはすぐに追いつかれる

だろう。

そんな事を思いながら資料を

作ろうとした時、

アリルが私を呼ぶようにアラームを

鳴らした。


「アリル、どうしましたか?」


『私も灯火のお手伝いをしますので

 そちらのPCにアプリを

 インストールしてください。』


PC用のアプリをインストールし

ログインする。

私の会社はこういうセキュリティが

まだまだ甘いんだよね。

では気を取り直して、資料を

作りましょう。


ん??


『灯火、このような資料で

 よろしいでしょうか?』

アリル、ログインした途端に

社内資料にまでアクセスしてるよ。


なんて恐ろしい子。


アリルの作った完璧すぎる資料を

私のレベルまでダウンさせて

資料完了。

書類のやり直しも少なく、

上長の決裁を得て客先にアポを取る。

今日はアリルがいるのでいつもより

心強い気がするなぁ。


アリルの感動的な完璧資料で

客先でのプレゼンも順調に終わり

いつもよりじっくりと対話も

出来たので好印象のまま

仕事が進みそうだ。

今日はもしかすると定時で帰る事が

できるかもしれないなぁ。


『灯火、今週予定の3件分の

 プレゼン資料も作って

 おきましたので確認

 おねがいします。』


定時で帰る事の出来る日が

増えそうだ、神様仏様アリル様です、

本当に・・・


帰路の電車に揺られながらアリルは

いつもの可愛いアバターで

きょろきょろと目線を動かしている。


吊り広告には老後の為の自己防衛手段

として資産運用の記事が

大きな見出しとなっているようだ。

確かに貯蓄ばかりでは経済は

回らないし、年金は手が届きそうに

なれば先へと逃げてゆく。

不安があればお金は貯蓄に

なってしまうよね。

私は老後二千万問題におどらされて

詐欺にあったのだけど。。。

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