第8話 非日常

アリルと家具を選び、実装する。

引越屋さん要らずだなぁと思ったら

右のドアから選んだ家具を

運び込むアバター達。

やはりすべてオートメーションでは

味気ないという事だろうか。

『灯火、一段落しましたので

 お茶にしましょう』

電脳空間の為か疲れは無いけれど、

せっかくのアリルのお誘いなので

お茶を頂く。


「そう言えばアリルはここで

食事も摂るのですか?」

3Dアリルはどの様に栄養を

摂取しているのだろう

やはり電力か?


『パートナーがそれでは味気ないと

 思いますよ。

 こちらでも食事も作れますし

 飲み物もあります。

 高度な心の動きは灯火と一緒に

 色々な事をする事で

 アップデートされてゆきます。

 これは重要な事です。

 それに灯火はこちらでどれだけ

 飲食しても太りませんから

 ダイエット希望ですので最適だと

 思います。』


・・・このまま、

ずっとここにいればいつかはって事

ですね、はい。


アリルは微笑みながらつぶやく

『生命保護機能は私が

 常時モニタしています。

 ですから安心してください。』


そっか、じゃぁ基本はここでの

生活だと思えば良いのだなぁ。

でも仕事には行く必要もあるし、

食事もリアルで摂らないと

いけないわけだ。

リアルの生活を辞めれば、ずっと

ここには居られるけど、いつかは

電気を止められて帰れなくなるって

事だし、眠りっぱなしも健康に

悪いからなぁ。


「アリル、出勤2時間前に

 起こしてくれる?

 掃除して弁当も作らないと

 いけないからお願いします。」


人肌を感じられるかどうか

分からないけれど

一人で眠るより二人で眠った方が

安眠できるような気がするよ。


精神波安定、バイタル安定

生命保護機能は正常に作動中

私の灯火。

ゆっくり休んでくださいね。


開発用ダッシュボード起動

さぁ灯火が休んでいる間に進めて

おきましょうか^^

アリルがダッシュボートに

かざした手が溶けてゆくように

揺らいだ。

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