第33話

〔この池谷っていう男………まだまだ疑っている様子ね。もう色仕掛けしか無いか?〕


「あっ、痛い………どうも足を挫いたみたいだわ。ちょっと肩を貸してくださる?」


高山博子は偶然を装って、池谷昭吾にスキンシップを試みる。


「あっ、少し安静に成れる所無いかしら……もう体裁なんて言ってられないわ。痛みが酷いのよ。」


〔ついに高山博子が急接近してきたぞ。彼女からしてみたら、バカな客だよな。きっと一気に関係を詰めてくるに違いない。〕


池谷昭吾は、警戒している。


〔まだ、この男、警戒してるようね。どうするか、見てらっしゃい!〕


博子は暑いとばかりに、ミニスカートをたくし上げている。そして美しい脚を何度も組み直す。


「あら……ご免なさい。」


昭吾の身体に何度もタッチする。


〔エエイ!もう既成事実を作るしか無い!〕


博子はホテルの中へとハンドルを切って行った。


「池谷さん、いえ、昭吾さん、もう私………我慢出来ないの。貴方が悪いんですよ、そんなイケメンで紳士を決め込んで来て………。」


「高山さん……博子さん、ダメですったら、そんな風に………ご自分を安売りしちゃあ。貴女には相応しいダンディな彼氏が待って居ますから……。」


「昭吾さん、それが貴方なんです………分かるんです、女の勘なんです。」


「いや、きっと違います。博子さんには、もっとお金持ちで家柄の良い紳士がお似合いなんですから。」


博子は焦ってハアハア言いながら、昭吾をたらし込もうとしている。


ついに昭吾は身の危険を感じてフェラーリを降りた。


「女に恥を描かせたわね!どうするか見てらっしゃい!」


「俺は何もしてねえよ!未遂だ未遂!何もしてねえから!」


「ふんっ!何よ!このイン〇野郎!役立たず!母ちゃんのオッパ〇でも飲んでろ!このマザ〇ンが!乙女の純情を踏みにじりやがって!」


「乙女ねえ?クククク………。」


「そこは笑う所じゃねえだろが!どうせ乙女じゃねえし!バカ昭吾!覚えてろ!女の恨み忘れんなよ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る