第19話

いよいよ葉山のレジャーランド『タイムズスクエア・ハロンドポール』の建設が始まった。


ゼネコンの〇〇組をはじめ、その下請けの地元の建設会社が多数参加している。

そして、設計者や技術者に混じって、実際に作業するのは、地元の人夫、そして女性達も働いている。

そこへ、あの黒川社長も女性達に混じって作業している。


グレートブリテン(株)の社員の田代

「黒川社長、作業は他の方に任せて会社に戻って貰えませんか?」


黒川社長

「イヤだね、一緒に汗をかくから値打ちがあるんだよ。それに作業しながら不審者の侵入や異変に注意しているんだよ。ほれ、田代も手伝わんかい!」


田代

「分かりました!社長だけに作業させておく訳にはいきません!」


黒川

「ヨシヨシ、君も成長したな。いいか、周りを警戒しながらだぞ!」


監督や作業員、警備員に混じって黒ずくめのスーツとサングラスの男達が敷地内を巡回している。


田代

「黒川社長、あのスーツ姿の似つかわしく無い人達は警戒の人達ですか?」


黒川

「ああ、斎藤組と宝田組のモンだよ、ああして、彼らの警備のお陰で反対派からの邪魔を防げるって訳だ。彼らも現場に段々慣れてきたようだな、ほら、アイツは女性作業員を手伝っているし。」


田代

「なかなか微笑ましい光景ですね。何事も無く工事が進んでくれると良いんですが。」


黒川

「私もそれを望んでいるよ。だが油断しちゃあいけないよ。いつ邪魔が入るか分からないからな。」


そう話している間に消防庁のお偉いさんらしき車が入ってきた。少し工事責任者と話した後に……

「はい!工事を中断してください!こちらの現場は消防法に違反している可能性があります!繰り返します!工事を中断してください!」


工事現場の人達はザワついている。

「なんだ?どうした?消防法に違反だって?いったい責任者は何をやっているんだ?ちゃんとやらねえか!」


黒川社長は、ふと思い当たる事があった。

「しまった!ウカツだった!」

すぐに電話をして、その場を離れる。


車中にて……

田代

「黒川社長、どうしたんですか?」


黒川

「私とした事が、忘れ物をしてたんだよ!」


黒川社長は水野会長に連絡を取り、この度の建設会社(ゼネコン)の〇〇組に挨拶に行った。


建設会社〇〇組社屋にて……

水野会長

「この度はお世話になって有り難う。ひとつ宜しく頼みます。」


黒川社長

「プロデューサーの黒川です。宜しくお願いします。これは葉山の名産です、お納めください。」


時間にすれば15分ほどの挨拶だった。

田代は葉山の名産の袋が異様に大きい事に違和感を感じた。


帰りの車中……

田代

「黒川社長、忘れ物の用事は終わったんですか?」


黒川

「ああ、少し色を付けといたからな。これからは工事も順調にいくだろう、取り敢えず。」


田代

「社長、それって1000位ですか?」


黒川

「良いセンだな、色を付けて1500にしといたよ、なかなか分かってきたじゃないか、相場が。ハハハ。」

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