第48話 ハーレム形成(?)

 

「アルメリアが聖女だってこと、ユーマに話しちゃった」


 翌朝、学生寮の共有スペースで朝食をとる前にフリストがみんなに報告した。


「フリストが必要だと判断したんですよね。では私は問題ありません。改めまして、自己紹介を。セシル暦第4代聖女候補、アルメリア=ルイン=セレスティアです」


「実は私、アルメリアを護衛してる聖騎士見習いだにゃ」


 聖女はこの世界を管理する女神の代弁者であり、そこに人族やエルフ、獣人などといった種族は関係ないらしい。だからニーナのような獣人が聖騎士になるのは良くあることのようだ。


「せ、聖女様なんだ……。あっ、聖女様、なんですね」


「リエルさん、これまで通り軽い感じで大丈夫ですよ。まだ聖女になれると決まってもいませんし」


「いいの?」


「はい。もし次の聖女になることができたら私はその期間、歳をとらなくなります。ですからハーフエルフのリエルさんとは、長くお付き合いさせていただきたいなって思ってるんです」


 次期聖女に確定し、聖女になるための修行期間を含めるとアルメリアは150年くらい不老になるらしい。


 一方でハーフとはいえ、長寿種族のエルフの血をひくリエルの寿命は2~3百年。かなり長い期間一緒にいられるということで、アルメリアはリエルと仲良くなりたいみたいだ。


「そうなんだね。私もアルメリアとずっと仲良くしたい! 絶対聖女になってね! 私も応援するから!!」


「が、頑張ります」


「ユーマにも協力してほしい。ねぇ、いいでしょ?」


「俺は──」

「協力してくれるって。報酬は僕の身体で」


 フリストがとんでもないことを言いやがった。


「いくらフリストが可愛いからって、それはちょっと……。もしかしてユーマって、男の娘の方が好きなの?」


 とても冷たい目でリエルに見られる。


「あはは。ひかれちゃったね」

「お前のせいだろ」


 ちゃんと責任取ってくれ。


「リエル、安心して。ユーマはちゃんと女の子が好きだよ。ほら」


 そう言いながらフリストがリエルの手を取り、自分の胸に手を当てさせる。


「えっ、柔らかい。フリストって、女の子だったの?」


「僕は天使なの。天使っていっても、下級だからできることはあまり多くない。でも性別くらいは自由に変えられる。昨日ユーマと添い寝する時、男の身体じゃ一緒に寝てくれないって言うから女の子になった」


 フリストが羽を出してみせた。


「ほ、ほんとに天使様なんだ」


「……あの。リエル、いつまで揉んでるの?」


 純白の羽に驚きながらも、リエルの手はフリストの胸を揉みしだいている。


「あっ、ごめん。こんな綺麗な子が、けっこう立派なものをもってるから、つい」


 うん。全身からは想像できないくらい、大きいよね。


 ちなみに俺は昨晩フリストと寝たが、胸を揉んだりとかしてない。童貞にそんなことができるわけない。してみたかったけど。


 彼女に誘われて同じベッドで寝たが、どうすれば良いかなんてわからなくて結局はフリストと反対の方向を向いて寝ることにした。


 そしたら彼女が俺の身体にくっついてきたんだ。


 それで、その……。

 

 ふにゅん、って。

 柔らかい感触が背中に。


 それに意識を集中し続けた結果、朝まで一睡もできなかった。


 でも人生で最高の一晩だった。



「そう言えばユーマは寝ちゃった私を寮まで運んでくれた時、襲ってこなかったね。でもちゃんと女の子に興味があるんだ」


 次はリエルから爆弾発言が飛びだした。


「も、もしかしてあの時、起きてた?」


「ううん、熟睡してたよ。私は一回寝るとなかなか起きないから。でも寝てる間に乱暴されたかどうかぐらいはわかる。私もユーマになら、そーゆーことされても良いかなって思ってた」


 そーゆーことって……。

 そーゆーことですか!?


 据え膳逃してた!?


 いやでも、あの時の俺も今の俺も変わらない。寝てる美少女に手を出す勇気なんてないんだ。



「リエルもユーマなら身体を許せるって。ならここはユーマのハーレムだね」


「は?」


 お前フリストとリエルだけじゃん。

 

「アルメリアを聖女にしてくれるなら、私もユーマのつがいになるにゃ」


「つ、つがいって」


「フリストとニーナだけにそんなことさせられません。心は女神様に捧げてしまいますが……。わ、私も、この身をユーマさんに捧げます」


「いや、アルメリアは絶対ダメでしょ」


 純潔でなくなったら、聖女になれないのでは?


「あ、異世界人のユーマは知らないかもしれないから説明しとく。この世界の聖女って女神様に祈りを捧げることを怠らなければ、結婚して子を産むことも可能だよ」


 ……マジっすか。


 ハーフエルフに天使、獣人そして聖女候補の美少女たちが、俺とそーゆーことをするのもやぶさかではないらしい。


 マジですか?

 


 いやでも、俺がこの学園にいられる期間って、長くてあと5日ぐらいだよな。


 流石に魔王討伐の旅についてきてもらうわけにもいかない。しかし俺を慕ってくれる美少女たちと離れるのも嫌だ。


 彼女たちとできるだけ一緒にいたいって想いと、どうせ近いうちにお別れしなきゃいけないからあまり親密になるべきではないって考えの間で揺れ動く。



 くぅぅ。俺はいったい、どうすれば良いんですか!!?

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