第41話 同接10万人突破! 尻破壊女神が語る思惑とは?


 お尻相撲で敗北したニュルンルンは女神の肉体を破壊され、尻が液状となっていた。

 液状に崩れた尻からは、虹色の煌めきを漏らしている。


「ぐぬぬ……」

「ニュルンちゃん」


 ヴェーラが向かうとニュルンルンは、ナイトプールのプールサイドで液状のお尻をあげたままうつ伏せに倒れていた。


「く。腕を上げましたね。ヴェーラちゃん……」


 だが尻をあげているのはニュルンルンだ。


「やっと眼を覚ましてくれたようですね。昔の雰囲気に戻って……」

「いいえ。ヴェーラちゃん。私の計画は揺らぎません。私は邪神を名乗り、この世界の人間に私のダシを横流しする。そして凶暴化させるのです」


「女神のダシを人に与えるのは、悪いことではありません。ですがニュルンちゃんは、あまりに悪意ある人に力を与えている。それに自分を邪神だなんて名乗って……」


「それが狙いなのです。痛っ……」


 尻をあげた姿勢のまま、ニュルンルンは彼女の目的を語った。


「私の目的は……。妖精世界を悪意の侵攻から守ることなのです。汚名を被っても構わないのですよ……」


 尻を破壊されながらも、ニュルンルンは女神の計画を語り始める。


 



 その頃俺は20階層にあがっていた。


 後ろには、ホストのヤスシ、幕下力士の爆乃海、ボディビルダー五里アキラ達がついてきている。


 20階層はエージェントエリアだった。


 黒服のエージェントが無限に沸いてきて、進路を塞いでくる。

 エージェントは機械でできていて、多少破壊した程度では怯まない。


「ピ、ガガ……」


 顔面の半分を破壊されても、むき出しの機械の形相でLEDの眼を光らせ、無限に追跡してくる。


 エージェントは探索者達を捕まえると、扉につれていくようだ。


「やめてくれ。やめてくれ~!!」


 俺は合点がいった。

 ここで地下労働者を調達していたのか。


 たしかにこのアトラクションは迷宮扱いなので、人身売買も隠せる。

 主催者、屍田踏彦の、人を食い物にする才能は本物のようだ。

 賢いやつだぜ。


「エージェントか。めんどくせーな。オラァ!」


 俺はエージェントの上半身をブースト・ハンマーで粉々に吹き飛ばした。


 のこった下半身もイーグルハチェットで真っ二つにする。

 機械なので心は痛まない。


「ピ、ガ……」 


 上半身粉砕!

 下半身両断!


 せまりくるすべてのエージェントを同じ要領で葬っていく。


「オラオラオラァ!」


 ごうん、ひうんとハンマーをハチェットが唸り、どぼん! どぼぉん! ごおおおぉぼおおおん! と爆発四散の音が連続で木霊した。



『すげえでごわす』


『助かったよ。ホストの魅了は魔獣には通じてもエージェントには通じなかったからね」


『俺よりも肉はないはずだ。なのに、なんだ? 奴の力は……』



「雑魚がついてきてるのか」


 うっかり本音を漏らしてしまうと、メルルが俺を小突いた。


「鬼神ぃ。本音が漏れちゃだめだよぉ。配信中なんだから」

「あ、そっかぁ。なんていえばいいんだ?」


「丁寧にいいなよぉ」

「お雑魚様がついてきていらっしゃる」

「そういうことじゃないよ!」



 だがコメントの皆は温かかった。



『鬼神さんなら許されるわ』

『口が悪いのがいいっす』


『雑魚を雑魚っていって何が悪いんだ?』

『SSSSSSSおじさんなので許される』


『いってることは悪いけど、やってることはただの良い人なんだよなぁ』



 俺の同時接続は10万人に達していた。



【102342人】と表示がでている。



「10万人は初めてだ。あざーす!」



『努力の賜物』

『おっさんは俺たちの希望!』

『こちらこそ勇気を貰っています』


  

 だが先ほどの地下の案件で、不穏な空気も漂っているようだ。



『ってか地下労働者を暴露しちゃって大丈夫なの?』

『乙』


『まさかこのときの暴露が彼を殺すとは……』

『企業を敵に回すと死ゾ』

『鬼神の人生終了』



 暴露系のチャンネルからも来た奴がいるのか。

 うーむ。ここらでスタンスを表明しておくか。



「別に正義マンのつもりはないでーす。ファック!」



『ファック!』

『正義マンwww』

『飛ばしすぎwww』



「俺は俺の道を進むだけ。探索者として目の前の迷宮を探索するだけだ。ここを一位で踏破したら屍田さんとのコネクションもゲットして、SSSS級の踏破レベルの迷宮もチャレンジしたいっすね」



『穏便な鬼神』

『空気を読んでる』


『妥当は判断』

『ってかここはダンジョンで迷宮扱いなんだから、地下労働者は自由意志で迷宮に捕らわれているだけなのでは?』


『鬼神さんは迷宮に捉え割れていた人を助けただけ』

『やっぱいい人なんじゃね?』


 よくわからんが、流れは良いようだ。


「ちまちま登るのが面倒なので、そろそろぶち抜きまーす」


 俺はドリルハンマーを上空へ向ける。

 地下で手に入れたジェムをメルルが解析する。


「鬼神ぃ。こいつはDDDだよ」

「なんだって?!」


 このジェムはDDDとかいう代物らしい。





 アルティメットセレブタワー最上階のナイトプールで二人の女神が語り合う。うつぶせで液状化したお尻をあげたニュルンルンと、輝く尻のヴェーラが対峙する。


「どういうことですの、ニュルンちゃん」

「鬼神を選んだあなたなら、わかるでしょう。世界を救うのは善や正義ではない。悪と悪がぶつかり合わなければ、世界は……。救われることはないのだと!」


 アルティメットセレブタワーの隣には、ダンジョンアトラクションタワーがそびえている。


「すべてを仕組んだのが、ニュルンちゃんなのですか?」


 ニュルンルンは破壊された尻をあげた姿勢でにやりと笑った。


「すべては神の御心のままに、ですわ」


 女神の超越的な思考があったのだ。



――――――――――――――――――――――――――

大事なお願い


もしおもしろいと思って頂けたら☆☆☆評価、宜しくお願いします。


そろそろ尻は自重します(忘れた頃にやります)。





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