アズマネザサ(東根笹);Pleioblastus chino (Fr. et Sav.) Makino

 東根笹アズマネザサはイネ科メダケ属の多年生常緑笹。関東地方と東北地方の低山や丘陵地にごく普通にみられ、北海道南部にもまれに自生します。学名はPleios「多い」とblastus「芽、杯」で笹に比べて節に多数の芽があることを意味します。chinoは「篠竹シノダケ」に由来、和名の東根笹は関東地方に多く根を伸ばすササであることから由来します。


 かんは高さ3~4m、径約2㎝に達し、稈鞘かんしょうそのほか全体に毛がありません。各節から数本の枝が出て、葉は狭披針きょうひしん形、紙質で、長さ15~25㎝、幅1〜2㎝。裏面は無毛で、半側に薄く毛があるものもあります。肩毛かたげは白色で平滑、直立。1つの葉の寿命は1年ぐらいで、春と秋に一部落葉します。まれに四月頃、花が咲き、茎先に小花が四~十二個集まって小穂を作り、 それが数個互生して穂をつくります。やくはイネの葯に似ていて、果実はイネのもみに似ているが、少し大きく、種子もイネの米粒に似ているが、稔るまでに至らないものが多いです。稈は釣り竿や篭作りなど、様々な用途があり、薄く裂いて竹行李たけごうりにもされます。材は粘りがあり強く、加工もし易いことから、農業資材として重宝され農家周辺によく植えられていました。


 尚、万葉集の頃から詠われてきた笹ですが、歌人としても有名な源実朝公が詠んだ和歌が『金槐和歌集』に掲載されていて、源実朝公御首塚の敷地内にある「波多野金塊植物苑」に歌碑とともに植えられている三十種類の植物の中の一首として紹介されています。


笹の葉にあられさやぎて深山辺は 峰の木枯こがらししきりて吹きぬ

  源実朝 (『金槐和歌集』)


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る