アスヒカズラ(明日檜葛);Lycopodium complanatum

 明日檜葛アスヒカズラはヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属でシダ植物の多年草。日本では北海道・本州・四国の、山地の明るい林縁や林床、湿地周辺に生育します。国外では朝鮮、中国、モンゴル、南アジア、ロシア、ヨーロッパ、北米の山地の草地や茂み、岩礫地などにも分布してるといわれています。


 和名の「明日檜葛」は茎に分岐する直立した側枝の形がアスナロの小枝に似ていることに由来しています。


 主軸の匍匐茎ほふくけいは地面を長く這い、まだらに分岐し、1mほどの長さになります。鱗片状の葉をまだらに付け、直立茎は斜上またはほぼ直立し、高さ10〜30㎝、扇状に分枝することが多く、小枝は扁平、葉とともに幅2〜4㎜、表面は緑色で、裏面は淡緑色、節がはっきりしています。葉は鮮緑色で、四列に並び、下部の半分以上が茎と合着し、先端は刺状。背葉は線形で圧着、側葉は幅広く、開出または内曲。複葉は小さく、鋭尖頭の先端部以外は茎に合着する。胞子嚢穂ほうしのうすいは3〜10㎝の柄に一〜五個つき、円柱形、長さ1〜3㎝、径2〜4㎜。胞子葉は密に付き、広卵形こうらんけいで鋭尖頭、辺縁は膜質、不規則な鋸歯きょしがあります。


 ヒカゲノカズラ科の植物は古くは奈良時代に山かづらといわれ、万葉集で詠まれています。


あしひきの山かづらかげましばにも 得難えがたきかげを置きや枯らさむ

 (巻十四・三五七三) 作者不詳 



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