第24話 教皇SIDE 罪人に死を

「皆、喜べ、勇者としてカイトが頑張っているから、ローアン大司教様が、この村に来られるそうだ」


良い話だ。


息子のカイトが勇者になったおかげで万々歳だ。


あの家畜女を売ったお金もギャンブルですってしまった。


カイト絡みだ、きっと又金になる。


「どう言う事だ、村長」


「ああっ、カイトが勇者として何か手柄を立てたようで、この村を『勇者の里』として開発をする事になった様なんだ…ローアン大司教様が教皇様からの命で此処に来るそうだ。全ての村人に褒美をくれるそうだから…皆は暫くは村から離れない様にという話だ…全員に褒美がでるそうだから出ると損をするぞ」


「「「「「「「「「「凄いはなしだな」」」」」」」」」」


全員が貰えるとなるとそこ迄多い金額ではないのだろう。


だが、大司教が来るんだ金貨位は貰えるか…


「セクトール…お前には更に特別な報酬があるそうだ、悪いが村より出て、ローアン大司教様の所に行って貰えるか?」


「俺だけですか?」


「勇者の親だから…特別な褒美があるようだ」


「へぇ~まぁカイトは俺の息子だしな…まぁ役得だ」


俺はついている。


勇者が息子だから…きっと何かくれるのだろう。


◆◆◆


「セクトール殿、久しいですな」


「ローアン大司教様には…」


「よいよい…貴方は勇者様の父親なのだ、無礼講で構わない」


「そう言って貰えると助かります」


勇者の父親でありながらゲスな行動をするクズ…


まぁ良い…どうせもうすぐ粛正されるのだからな。


「それでのう、カイト殿が手柄を立てたので、セクトール殿にも幾ばくかの恩賞を出す事が決まったのだ…こちらの書類にサインを頂けるかな?」


「へーこの書類にサインをすれば恩賞が貰えるのですね…はい、これで良いですか?」


「ああっ構わない…そこの聖騎士…セクトール殿の首を跳ねよ」


「ハッ」


「ちょっと待て…恩賞じゃ」


「知らぬ…勇者の名を汚す、寄生虫…死ぬが良い」


まぁクズの最後など、こんなもんじゃ。


「セクトールの首には固定化の魔法を掛けて、塩漬けにしておけ…しばし休んだら村へ進軍するよう、皆に伝えよ」


「ハッ」


馬鹿な奴じゃ、文字一つ読めぬのだからな…


この書類は恩賞の書類ではない…姦淫罪の告訴状じゃ。


後妻とは言え、勇者の母親でこの男の妻。


京子という女を犯したという証拠は幾らでもある。


今回の話は秘密裏に行うし、聖騎士にも『勇者様の為』それ以外は伝えて無い。


だが建前は必要だ。


しかし、ロマーニ教皇様も思い切った事を…


リヒト殿が愛する京子という女を抱いた男や迫害した者、関係者を含み約500名…村ごと殺害し、それを手土産に交渉のテーブルにつく。


まぁ、彼奴らは勇者にとって『最大の汚点』この辺りで居なくなって欲しいのでしょう。


それに家族や知り合いが全員居なくなり、故郷が無くなれば、頼れるのは教会や国だけになりますから1石3鳥です。


流石、ロマーニ教皇様…完璧な計画ですね。


◆◆◆


「何も無い村ですが、出来るだけのもてなしをさせて頂きます」


「それで、村長、村の者は全て集まっていますか?」


「言われた通り、全員今日は村からでておりません」


「そうであるか…それでは村長、貴方に聞こう…この村では教会が禁止している姦淫を行っておるのか?」


「そんな破廉恥な事絶対にしておりません」


「そうか、だがな、京子という女性に対して性的な暴行を加えた…そういう訴えがあるのだがどうかね」


「京子…ああっあれは村の奴隷みたいな物でした…」


「ほう、彼女に対して、その様な事を村ぐるみでしていた…それは認めるのですな」


「はい、ですが、奴隷を扱う権利は…」


「確かに今は京子という女性は奴隷になっていますが…村に居た時は違いますな…それに過去に自分の妻だった人間を村ぐるみで犯されたというセクトールからの訴えがあります…語るに落ちましたね」


「そんな…それは…その」


「夫の居る女性と関係を持てば姦淫罪ですな」


「そ…それは、違う…」


「関係を持っていたのはもう調査済みですよ…しかも、嫌がる彼女を無理やり犯していた証拠もあります」


「で…ですが、こんな事は他の村でも…」


「強姦罪に姦淫罪…そして村ぐるみの隠匿…これは死をもって償うしかありませんな…聖騎士よ、村長が認めた…これよりこの村の人間を全て殺せ!」


「「「「「「「「「「ハッ」」」」」」」」」」


「そんな慈悲を、慈悲を下さい…命だけは…」


「諦めて下さい…罪は償うべきです」


「そんな、そんな、ああああああああああーーーーっ、儂は構いません、せめて孫だけはーーー!」


「祖父が馬鹿だから死ぬ事になる」


「そ…ああっ」


流石は聖騎士仕事が早い。


会話の途中で村長の首は斬り落とされ地面に転げ落ちた。


これを皮切りに、聖騎士による村人の殺戮が始まった。





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