第7話 京姉


どうすれば良いんだろう…


結婚まですれば、思いが伝わる…そう思ったけど…駄目だな。


よく考えたら京姉は、俺の親のせいでセクトールの後妻になりより酷い目にあったんだ…そんな京姉に『結婚が誠意を伝える事になる』そう考えた俺は馬鹿だ。


「結婚したから、やらせろ…どうせそんな事でしょう…より酷い事をしても咎められない様にしたんだよね…もしかして、あっちよりも暴力が振るいたかったの…そうか、そうだよね…これで殴り放題だよ…ほら」


「京姉…そんな事もされたの…」


「何をいっているのかな…知っていて買ったんでしょう」


「違う…」


「そう…」


なんだか、少し温和になった気がする。


「あの…」


「さっきからそればっか…まぁ良いわペンダントもくれたし…新しい服までくれた…それに、どうせ形だけかも知れないけど結婚までしたんだから…話位は聞くよ…どうせ私はリヒトくんの奴隷だし、何がしたいのか位は聞くから…ほら言いなさいよ」


「俺は小さい頃から京姉が好きで初恋だったんだ、色白で幸薄そうで…儚く見えて…」


「そりゃどうも…幸薄そうじゃなくて、本当に不幸だったの…馬鹿じゃないの不幸そうな女が好きなの?」


「違う」


「続けて」


「子供の頃だよ、京姉が好きで結婚したいと言ったら怒られた…」


「怒られた位で気持ちが変わっちゃったんだ」


「変わらない…ちゃんと」


「続けて…」


「それでも好きな気持ちが抑えられなくて、将来結婚するなら京姉が良い…そう言ったら…反対されて、父さんに…」


「私の事聞いたんだ? ねぇリヒトくん…私が好きならなんで助けてくれなかったの? 私を無理やり抱く様な奴からなんで守ってくれなかったのかな…」


「それは…」


「言い訳ばかりだよね? 好きな男の子すら助けてくれないんじゃ…あはははっ便所みたいにされるわけだ…知ってても王子様は動かないんだから…私がどんな目にあっているか知っててもリヒトくんは何もしてくれなかったんだね…」


「ごめん…俺ガキだったから何も出来なかった…」


「助けようともしないで…続けて…」


「京姉の事はずうっと気になっていた…近所に居なくなってからもずうっと」


「どうせ、その口ぶりじゃ…探してもくれなかったんでしょう…続けて」



「暫くしたらカイトのお父さんセクトールと結婚して…どうする事も出来なくなった」


「ふ~ん確かに他人の妻を寝取ったら姦淫罪、罪が重いわね…だけど私がどれだけ酷い目にあっていたか知っているわよね…貴方が私がされているのを見たのは外…しかも1回は2人掛りだった筈よ…ねぇ連れて逃げてあげよう…助けてあげよう…そう思わなかったの…私は貴方が、私の境遇を知らないと思ってショックを受けない様にセクトールとの夫婦の営みに見せかけて、2人の時は淫乱な女を演じたわ…リヒトくんに境遇を知られたく無かったから…ねぇ、知っていたのなら連れて逃げようと思ってくれないの…多分連れて逃げてくれたら…死ぬ事になっても私感謝したよ」


「ごめん」


「ごめんばっかり…続けて…」


「でもどうしても京姉が諦められなくて、セクトールおじさんに手紙を書いたんだ…『京姉をくれませんか』って」


「そうなんだ…それは初耳だわね…それで」


「そうしたら、金貨30枚だったら譲ると言われて、溜まる迄銀貨3枚月に仕送りすれば売らないでくれるし酷い事しないって言うから…お金を溜めて迎えに来たんだ」


「セクトールはクズよ…私、リヒトくんに再会するまで酷い目に会って居たよ…村で抱く人はいないけど旅人相手に売春させられたりね…慰め者として暴力振るわれていた」


「そんな…」


「リヒトくんは優しいから騙されていたんだね…それでこの奴隷紋はなに」


「俺だって馬鹿じゃないから、もしセクトールが金だけ受け取って誤魔化したら困るから、奴隷の契約書を事前に用意したんだ…法的効力の強い奴を…これにサインしたら例え夫婦であってもこちらが優先される…契約書…ゴメン、事前に伝えた方が良かったよね」


「そうだね…そういう事なのね…それで意気地なしで勇気がなくてボロボロになってようやく助けにきた馬鹿な王子は私とどうなりたいの?」


「幸せにしたいし、なりたい…」


「全部知っているのに…今でもそう思うの?」


「うん」


「暴力振るわない? 本当に大切にしてくれる?」


「約束する」


「解ったわ…それじゃ…私の特別をあげる…その代り裏切ったら、リヒトを殺して私も死ぬから…ほうら」


「どうして、俺に目隠しをするの…なんで手を縛ろうとするの…京姉」


「私、一つだけ守ってきた物があるの…どんな酷い目になっても犯されても殴られても『自分からした事はない』…心は奪えない、使いたければこんな体自由にすれば…そう思っていたの…だけど、リヒトくんには『私からしてあげる』心をあげるわ…だけど、その代り『今迄言った事が嘘だったら殺すからね…ほうら』


そう言うと京姉は俺を押し倒した…


朝になり…また夜になるまで京姉は俺の体を貪った。


月明かりのなか目隠しを外して貰い見た京姉は、俺が見た中で一番綺麗な京姉だった。


※ようやく鬱パートは抜けます。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る