第18話:ギャル猫の提案

 第18話:ギャル猫の提案


 正ちゃんのお家おっきくて綺麗でビックリ!

 お母様優しいし、妹ちゃん可愛いし、最高かよー。

 そだ、先に言っとかないと。


「あのさー、正ちゃん家どんなだったか教えたいから、パシャったりLIMEったりするけど良きー?」

「うん……全然……大丈夫……」

「ありがとー」


 見守りグループに送る用にほしーからねー。

 いちおーね、じょーしきは守らないとだし。

 あーしバカだけど、やられたくない事はやらないシュギだから。

 そんなこと考えながら階段登って二階にとーちゃく。


「奥が……僕の部屋……」

「おー? 何コレ?」

「初めてだとビビるよな、この重そうな扉」

「え? コレが正ちゃんの部屋なの? いかつくね?」


 パシャパシャ。

 ヤバい何コレ意味不明すぎるし。

 黒いし重そーだしワケわからんすぎて逆に笑える。

 正ちゃんが慣れた感じでガショッて開ける。

 いやお家の中で普通そんな音聞かなくね?


「どうぞ……入って……」

「お邪魔しまーす!」

「お、おジャマしまー……す……?」


 パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ!!

 何コレ何コレ何コレ何コレ!!

 え? 部屋? なんかテレビでこんなん見たけど部屋? 正ちゃんの? マジで?

 あーし頭どうにかしちゃった系? コレ現実なん?


「めちゃくちゃ撮りたくなる気持ちは分かる、神聖な空気を感じるよな! 俺も撮っておこっと!」

「なんか……恥ずかしい……」

「パソコンでかっ! なんでマイクあんだし! むずかしそーな機械も! ワケわからん!」

「その……趣味で……」

「とりま待って、落ち着かせて、頭パーンってしそー!」

「ご、ごめん……?」


 …………

 ……


 ネコ:ちょい現実とーひ

 ミカ:どしたどした~?

 ネコ:あーしの混乱をおすそわけー

 純奈:小山内くんの家に行ってるのよね? 混乱って何があったの?

 ネコ:とりま写真送りまくるから見てー


 沢山の写真


 ミカ:ん~? 何コレ~?

 ソラ:どこかの録音スタジオでござるか?

 白枝:いや小山内殿のお宅に行ってるはずでは?

 俊治:もしかして、これが小山内くんの部屋ですか?

 睦美:声優とかナレーターが使うスタジオみたい……

 ソラ:拙者にもそう見えますな……

 ネコ:コレ正ちゃんの部屋らしーんだけど、あーしの知ってる部屋じゃない

 白枝:斜め上すぎるでござるな……

 優子:絶対なにかやってる設備だよね……

 ミカ:ワケわからんすぎて笑える~(爆笑顔)

 睦美:ひとまず話を聞いた方がいいのでは? 案外素直に聞いたら教えてくれるかもしれませんよ?

 純奈:ずっとLIMEやってるわけにもいかないし、その方がいいわね

 ネコ:そーする、みんなに混乱おすそわけしたら落ち着いてきたわ、ありがとー

 ソラ:続報待ってますぞ


 …………

 ……


「もー大丈夫、ごめんねー」

「まあそっちにベッドとかあるし、クッキーくんの部屋なのは間違いないからな?」

「そだね、そーぞーの斜め上すぎてパニクった系」

「なんか……ごめん……」

「あーしがバカなだけだから! 正ちゃん悪くないし! 男子の部屋ってみんなこんなかもだし!」


 男子の部屋とか入ったことないし、知らないだけかもだし。

 だから正ちゃん、そんなしょんぼりしないで? あーしバカでホントごめんね?


「いや特殊すぎるからこの部屋。 普通の男の部屋こんなんじゃないからな?」

「あーし知らないし……男子の普通の部屋なんて……」

「とりあえず……座って話そ……?」

「お兄ちゃん?」


 あーしたちが座ったタイミングで妹ちゃんが来た。

 後ろにお母様も一緒に来てる。


「飲み物持ってきたよ」

「ありがとう……」

「昨日作ったクッキーもね♪ 今回のも上手くいったんじゃないかしら?」

「うん……いい感じに……作れた……と思う……」

「ふふふ♪ あんまり邪魔しちゃアレだから行きましょ♪」

「はーい。 わたしのタピオカ、ミルクたっぷりにしてね?」

「はいはい、腕によりをかけてつくるわよー♪」

「やったー♪ じゃあねお兄ちゃん!」

「ごゆっくりー♪」


 パシャパシャ!

 ホントにタピオカ来た!

 しかも作るって言ってた!

 お家で作れるものなの?!


「はー麦茶美味い。 最近ますます暑くなってきたし、こういうの飲みたくなるよな」

「そうだね……冷たいのが……美味しい季節……」

「うっま! 今まで飲んだタピオカよりマジで美味いんですけど!」

「一番ってすごいな、ギャルが言うなら間違いなさそうだし、俺も今度頼んでみようかな」

「僕も……タピオカコーラ……とか……」

「もしかしたらあるんだろうけど……想像できないな」


 ネコ:お母様にタピオカ頼んだらふつーにでてきた

 ミカ:どゆこと~?

 ネコ:何飲みたいか聞かれてー、頭にパって浮かんだタピオカミルクティって言ったらわかったーって

 純奈:わざわざ何処かに買いに行ったのかしら?

 優子:二駅移動しないと飲めないよ、タピオカ

 純奈:そうなんだ、飲みに行ったことがないから知らなかった

 ネコ:妹ちゃんにタピオカ作るって言ってたからー、お家で作ったんだと思う

 ミカ:でっかい家で~、正っちの部屋がイミフで~、タピオカ頼んだら作ってくれて~、ワケわからんwww

 ソラ:ものすごく行ってみたいですぞ

 睦美:楽しそうで実際に見てみたくなりますね


「そうだクッキーくん、次のってリクエストできたりするか?」

「いいよ……今日のまだ……決めてないから……」

「???」

「よっしゃ! ダイコーンVX《ボルテクス》とオオバオーの掛け合いがいいな!」

「随分……古いね……」

「熱くて好きなんだよ! どっちもスパ○ボに出てないし、夢の共演ってやつ!」

「確かに……いいかも……!」

「何のはなしー?」

「あーそっか、学校じゃ俺しか知らないんだったか。 別に話しても大丈夫なんだろ?」

「隠してないし……いいよ……?」

「実はクッキーくんな、声真似系ノッカーなんだよ」

「ノッカー? ティックノックの? てか声真似て?」

「そうそれ。 アニメの声真似動画を投稿してんだよ、クッキーくん。 これこれ」


 ~♪


「…………マジで?」

「マジマジ! 実際に見りゃ早いよな?」

「そうだね……好きなアニメとか……ある……?」

「…………不思議少女 魔女が間近、とか……?」

「いいね……主人公の……魔女モンブラン……わかる……?」

「……うん……動画撮っていい?」

「いいよ……相棒と……出会ったところね……。 ……魔女だと知っても話しかけてくるのね、とても興味深いわアナタ」

「すごっ! え? 今の正ちゃんだよね! うわっ! トリハダヤバッ!」

「初めて知ったアニメだけど、俺も鳥肌やばい! やっぱすげぇよのなめ!」


 ネコ:やばい

 純奈:ついに一言になったわね

 ミカ:今度はなに~?

 ネコ:正ちゃん神様に愛されてた

 ソラ:何一つ分からないのがヤバイでござるな

 ネコ:正ちゃんティックノッカーだったやばい

 純奈:ティックノッカーってあの? 動画投稿したりライブ配信したりする?

 ソラ:カラオケの時に話そうとしたやつですな

 ネコ:URL

 ミカ:見てこよ~

 睦美:クオリティ高いのでオススメですよ

 優子:ひっくり返るよ

 白枝:知ってればですがな

 ソラ:それは正しく!


 …………

 ……


 優子:光彦様がオススメしてたノッカーだよ

 まりあ:王子様がプイッタに載せてた人?

 ソラ:声優界隈を賑わせてる、のなめ氏でござるな

 ネコ:これも見て


 一本の動画


 白枝:魔女まぢでござる!

 一歩:第一話の出会いのシーンですぞ!

 ソラ:小山内殿がハキハキ喋ってるでござる!

 ミカ:それな~www

 純奈:普通に話せたのね、ビックリしたわ

 俊治:声真似している時だけの可能性もありますね

 ネコ:動画の後いつもと同じだったからそーかも? とりまやばい、神様に愛されてるってぜったい

 ソラ:奇跡のノドは神様からの贈り物、たしかにそう感じるでござるな……

 優子:待って待って待って

 ネコ:???

 優子:声優業界が大注目してる正体不明の声真似系ノッカーなんだよ、こんなん見たらもう揺るぎないじゃん!

 睦美:たしかにそうですね……嬉しいですが扱いに困ります

 純奈:そうなの? クラスメイトの意外な一面を知った程度にしか思ってなかったわ

 白枝:下手に他に話せない秘密を知ってしまったでござる

 ネコ:見守りグループなんだから、見守ればよくねって感じなんですけどー! なんで誰かに話すテーなわけ?

 俊治:確かにそうですね、それほど大きな秘密なら尚更見守るのが一番でしょう

 ソラ:焦った自分が恥ずかしいでござる

 優子:たしかにそうよね、ごめんなさい

 睦美:超大物声優も知らない秘密を共有、なんだかドキドキしますね

 ミカ:よくわかんないけど~、秘密のきょ~ゆ~ってなんかいいかも~

 まりあ:生で見れた新宿さんが羨ましい……

 白枝:それな、でござる

 ネコ:今からノック用のどーが撮るみたいだから、十八時に新しーのあがるからちゅーもくねー


 ここからは知らない世界すぎてもーやばかった。

 セリフ決めて、録音して、どーが作って、予約とーこーして。

 終わるまであんまマバタキしなかったかも。

 すごすぎてどちゃくそかんどーしたわ。


「ってか思ったんだけどさ」

「ん……?」

「どうした?」

「ライブ配信はやらないのー?」

「……考えたこと……なかった……」

「でも雑談とかできないだろ? 成り立たなくないか?」

「確かに……」

「今あーしらと喋ってんじゃん? 一緒に喋る人居たらいけるんじゃねー? って思ったけど無理系?」

「どうなんだろ……」

「クッキーくんには悪いが、雑談配信やってる姿はイメージできないな……」

「良奴くんとあーしでスタッフ的なのやればいけんじゃねー? 喋るのサポートしてさー?」

「それならできる……のか?」

「わからない……でも……興味は……ある……」

「んなら、こんどフォロワーげんてーでやってみよーよ。 いきなしぜーいんにってよかいいっしょ」

「そうだね……夏休み……チャレンジする……」

「聞く側から聞かせる側になるのか……なんかワクワクしてきた!」

「とりまよてー立てて準備しないとねー」


 秘密知ってビックリした!

 でも新しーすがた見れて嬉しかった!

 もっと好きになったし、もっと見てたくなったってゆーか?

 とにかく、近くにいるこーじつできたしアピールするべ!

 ……自然にゆーどーできてたよねー?

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