僕のお母さんはお酒が好きだ
舘夢ゆき
僕のお母さんはお酒が好きだ
まず最初に。
僕はお母さんが嫌いな訳では無いです。それを踏まえた上でご覧下さい。
僕のお母さんはお酒が好きだ。
おばあちゃん家で飲んだり、電話しながら飲んだり。
そもそもなぜ僕がお母さんにお酒を飲んで欲しくないと言い続けているかというと、トラウマがあるからです。
確か4~5歳の頃でした。夜中に目が覚めてしまって、お母さんが隣に居なかったのでキッチンに向かいました。
そこで僕が目にしたのは
カッターで腕に傷をつけているお母さんでした。
読者の方々、気分を害したと思います。申し訳ありません。
血が沢山出ています。おばあちゃんが包帯を持っています。僕はその時、お酒を飲んでおかしくなったのかと思って「大丈夫?」と声をかけました。
お母さんから「見たら駄目」と酔っ払ったお母さんの声で言われました。
まだ小さかった僕は気になってその場に立ち続けました。結局その日は寝れたんですが、その後も数ヶ月に1回、この光景を見ることになりました。
僕は「それ」を後にリスカだと知りました。
次です。5歳の頃、お母さんはふわっちで配信をしていました。その頃の僕は「お酒は悪いもの」というイメージが頭に張り付いていたので配信中もお構いなく「お酒を飲まないで」「布団に入って」と訴え続けました。その後お母さんはウザがってスマホを置いて布団へ。
画面には僕の泣き顔が映っています。
「可哀想」
「大丈夫?」
「泣かないで」
などの心配のコメントでいっぱいでした。
それからもずっと、僕はお母さんに「お酒を飲まないで」と言い続けました。何度も、何度も、約束を破られ続けました。
もちろん子育ての疲れからこんな事をしているのは理解しています。でも、受け入れられないんです。どうしても。
一気に飛んで小学5年生の頃、最悪の自体が起こりました。
「友達と飲みに行ってくる」とお母さんはおばあちゃん家を出ました。僕はおばあちゃん家に預かられる形に。
ゲームしたり、YouTube見たりして暇を潰していました。
でも、12時を過ぎてもお母さんが帰ってこないんです。
家を出たのは19時頃。電話も繋がらず僕の鼓動は次第に早くなり、心配と恐怖に襲われました。「どうせ帰ってくる」とおばあちゃんは言います。お母さんの親が言うことなのだから、と安心して眠りにつきました。
午前3時。お母さんが帰って来ました。
警察を連れて。
どうやら家の真下の川(水は流れていない)に全裸で気絶していたそう。意味のわからない話です。事件性を伴う話です。
でもその時の僕は「無」でした。心配、恐怖、安心、本来なら出てくるはずの感情が出てこないんです。今でもなんでだったのか分かりません。
そこからはあまり覚えていません。
そこから現在。
沢山泣きました。沢山怒鳴りました。でも通じません。
でも、でも!!僕はお母さんが大好きです!
酔っ払ってないお母さんは優しいし、僕の夢を応援してくれて、小説も沢山買ってくれます。マザコンなのかも知れません。でもそんなの知りません。
僕は僕らしく生きたいから。
いつかお酒、やめて欲しいな。
追記 今更ですが、この小説を読んでくれた皆さんにお礼の言葉を。温かい応援コメントや読者の方々のおかげで僕の中で何かが変わってきています。本当にありがとうございます。皆さんに幸あれ。
僕のお母さんはお酒が好きだ 舘夢ゆき @yukiyukiay
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