『第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト 短歌の部』 田舎暮らし ~ゴールデンウィーク、帰省の風景~

小烏 つむぎ

<短歌>田舎暮らし ~ゴールデンウィーク、帰省の風景~


窓を開け 布団を干して 掃除する

 帰省の前の 晴れ間ぞ嬉しき





車から出される荷物の多くして

 よくぞこれだけ積み込みにけり



母の陰 覗き見いたる小さき子

 小さき声であいさつぞする

 


朝ごはん、昼ごはんのち、夜ごはん

 寝て起きたなら

  また朝ごはん



嫁、娘

仲良く並ぶ台所

 洗い仕事はみんな任せた



こたつ囲み 日頃は広いリビングの  

 この時のみは 過密地帯に



夕飯の前から順に風呂勧め

 最後のわれは真夜中になる



馴れてきて 我儘に泣く孫の声

 曾祖母そうそう部屋に逃げ込む



花を摘み スイトピーだと差し出され

  それは豆だと言えず 受け取る



草引きを手伝う わたし出来るもん

  抜いているそは小松菜なりけり



ここは海?

 畑に撒かれた貝集め 喜ぶ孫に

ほころぶ口元



お手伝い させたい娘は難色で

 ヤル気があるのは孫ばかりなり



洗濯を畳むと意気込む三歳児

 喜ぶ素振りで タオルすすめる





新緑の いろ様々に萌えいずる

 パッチワークの杉の常盤ときわ



名も知らぬ 田んぼの畦に生え揃う

  草の揺らぎに 命を思う



空高く

 梢の陰で

  電線で 高らかに歌う愛の囁き



草が生え

 雑木が生えて繁りゆき

大地に還るとちぞ 哀しき






バイバイと窓越しに振る手 見送ると

 空に ぽっかり    

      しろい月かな



ひろい部屋 静かなる部屋 寒い部屋

  義母がのんびり

    コタツもりする



物干しに

  下がる洗濯ころもの少なくて

   風の通りのよきかな 

        よきかな

   


  

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