第2話
普段は基本清純な隠れお転婆キャラという男の夢を体現したような性格であり、まさに正統派ヒロインといった個性だが、特定条件下において豹変する。
そうなったが最後、慈愛の化身は鬼畜の権化へ変貌し、その残忍かつ冷酷な性格はドSの名を欲しいままにしていた。
敵対者への悪逆非道、人質への無慈悲、足を引っ張る味方の切り捨てetc……。とても主人公パーティーとは思えない行為をはたらく。
いや、コレを豹変と言うのは正しくないかもしれない。
なにせ彼女は
そして、その人格には名前もある
名は、
可憐な見た目で清純や謙虚花言葉といった花言葉で善性の存在である
同じ『菫』という漢字で全く別の存在を表すこの文字こそ彼女達の名前に最も
◆
失敗した。
遅刻ギリギリまで来紅を
何せ、先程の
後は記憶を共有出来ない彼女等の必需品である『共有メモ』に書かれない事を祈るだけだ。
「どうしたの? 遅刻しちゃうよ」
「……ああ、そうだな。行こうか」
どうやら、また考え込んでしまったらしい。やっとの機嫌が直った
俺には考え込む癖がある。前世はボッチだったので問題なかったが、今世は友人がいるので、話てる間など考え込まないように気を付けなければ。
……それに彼女のストレスが溜まれば
「ねぇ、薊くん」
「ん?」
何やら神妙な顔をしているが、どうしたのだろうか。
俺としては命の一つや二つ(固有スキルの復活分を含めて)余裕で賭けられるから、そんなに遠慮せずとも良いというのに。
「私達、同じクラスになれるよね?」
「……あ〜、それか」
来紅には言えないが、ほぼ確実になれる。
原作では俺と来紅、ついでに水雲菫は同じクラスになっていた。
とはいえ、今のところ原作知識は字面ほど便利ではないチート(笑)であるため確実とは言い切れなかったのだが。
「まぁ、大丈夫じゃないか?」
「も〜、何それ」
いや、確かじゃないこと断言できないし。
来紅がプリプリと可愛らしく怒りながらブンブンと禍々しい
平和だし何でもいいか。
「まぁ、でも少し不安だな」
「そうでしょ」
主に原作知識と、どこまで乖離するかが。
果たして、これから始まる学園生活でも今までのように順調にいくだろうか。
病みラビのメイン舞台たるダンジョン学園には
生徒の中には勿論、教師や警備員、設備の中に至るまで、あらゆるところに。
いや、やるしかない。
俺はそのために生きてると言っても過言ではないのだから。
差し当たって必要なのは
「あいつだけは殺さないとな……」
ゲーム時代のソイツは
直接、間接を問わなければ作中ほぼ全ての
「薊くん、何か言った?」
「いや、何でもない」
口には出てたか。気を付けなければ。
前世から消えない怨嗟を飲み込み、取り繕った笑顔を向けた。
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