第24話
◆
「どけぇぇぇぇぇっ!」
獣のように吼えながら前進する。
「「「ガァァァァァッ」」」
眼前には無数のモンスター。連中は大なり小なり肉体に欠損を抱えているが、そうとは思えない機敏な動きでこちらに迫ってくる。
そんなところを前進するには、モンスターを倒すしかない。
正面の敵は斬り捨て、足元の敵は踏み潰し、それ以外の敵は……
「俺より堕ちろ【
喰い付かせてから殺してやる。
俺の固有スキルである【禍福逆転】は一定時間内に攻撃してきた敵へ俺が受けたダメージの二倍ダメージを与えるスキルだ。
そこに距離は関係なく、遠距離だろうが零距離だろうが構わず粉砕した。
そうして、HP自然回復で体が癒えるのを感じながら、見晴らしの良くなった廊下で扉を順に開けていく。
「ここも、ここも違う」
現在、俺は二つの捜し
一つ目は当然だが来紅だ。
彼女が生き残るには、どこかモンスターがいない部屋に立て籠もるのが一番だろうし、それは逃げてる本人も痛感しているだろう。
だから、手当り次第探しているのだが、来紅本人はおろか痕跡すら見付けられない。
そして、もう一つの捜し物。それは、この館の厨房である。
一応言っておくが、食料や、調理道具の刃物を求めている訳ではない。
ゲーム知識を信じるなら、そこには『お菓子な魔女』を攻略するために必要不可欠の要素があるのだ。
だが俺の知識だけでは手に入れる事は出来ないため、来紅に協力してもらわねばならないのだが、ここで問題ある。
それは、俺が本来なら誰も知らない『お菓子な魔女』の攻略方法と来紅の固有スキルである【
緊急事態である今、わざわざ気にするような事ではないかも知れないが
紛い物の
取らぬ狸の皮算用もいいとこだが、相手に違和感を与えず誘導するには事前準備は必要不可欠である。
「来紅! 返事をしろ来紅っ!!」
まぁ、それら全ては来紅の安全よりも、優先順位は遥かに低いが。
自身の安全を鑑みずにドタバタと進めば、出てくるのはモンスターだけではない。
「ぐっ、邪魔だぁ!」
ドアノブを捻った途端に現れた棒状の巨大菓子。よく見れば、抜けにくいように返しがついていた。ファンシーな見た目をしてる割に殺傷能力が高い。
そうして、菓子で出来てる癖に、やたらと頑丈なトラップを抜け出すと、周囲をモンスターに囲まれていたため固有スキルで切り抜ける。
片目を潰されて距離感の掴みにくくなったが、その程度は足を止める理由にはならない。
こうして、モタモタしてる今でも来紅は苦しみ続けているのだから。いや、それどころか……
「……そんな事、あってたまるかっ」
俺は頭に浮かんだ最悪の結末を現実にしない為に走る速度を上げた。
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