第20話
◆
「(コンコンッ)」
「ん?」
身支度を整えていた俺は扉をノックする音が聞こえたので玄関へ向った。誰かは知らんが、この後は
「あっ、おはよう。薊くん」
「あ、ああ。おはよう来紅」
何で来紅がここに?
待ち合わせは一時間後に公園って約束だった筈なのだが。と、言うか家を教えた覚えがないのに、どうやって知ったのだろうか。
「えへへっ。来ちゃった♪」
輝くような笑顔は素晴らしいが何故だろうか、聞くなと無言の圧力がある気がするのは。
もしや彼女の手にある特製
「えっと、まだ準備出来てないから上がって待ってて貰えるか?」
「ありがと。お邪魔するね」
湧き上がる恐怖を押し殺し、彼女を居間へ案内する。
その後、身支度を整えてから何故か居間の荷物が動いていたり、特製ポーションで
◆
「ほらほら、こっちだよ薊くん」
「ちょ!? 待て来紅。危ないから走るな!」
「ふふっ。薊くん、お父さんみたい」
ここは市場と銘打ってあるが、その実態は商売素人が不用品を売り捌くフリーマーケットのようなものだ。そして、その自由度の高さは規制の緩さの裏返しでもあるため病みイベントの温床ともなっている。
だから来紅、勝手に行かないでくれ。慣れてるから大丈夫と思い始めた時が一番危ないんだ。
「もうっ。そんなに一緒にいたいなら手を繋いであげる。だから早く行こ」
「いや、そうじゃなくて……」
「あっ、喉乾いたし飲み物買おっか」
話を聞いてくれない。
半ば引き摺られるように俺はドリンクショップへ連れて行かれ適当な飲み物を買った。
移動方法はさておき、ドリンクを飲めるのは有り難い。口に広がる
「コレ新発売だって。二人で飲もう!」
「え、いやいや、今日は暑いしコッチのサッパリしたのにしないか?」
「えー、でも」
途中、来紅が寄生虫入りジュースを買うのを阻止したりとヒヤッとする場面もあったが、どうにか無事にドリンクを買う。
「美味いな」
俺が選んだのは炭酸強めのジュースだ。
普段なら飲めた物ではないキツさだが、
体内を浄化されてる気分にすらなる。
「ねぇ、薊くん。もっと美味しくなる飲み方は知ってる?」
「……運動してから飲むとかか?」
「ぶっぶー、正解は……」
質問の意図が分からない。
取り敢えず適当に答えを返すと、来紅はフフンと得意げに笑って
今日も見たばかりのある物を。
「特製ポーションと一緒に飲む、でしたー」
「……」
ダバーっと注がれる深紅の液体。
それは洗い流したばかりの絶望であり、同時に
「さっ、早く飲んで♪」
「あ、ああ。飲ませてもらうよ」
ここで飲まなければ来紅は
その一心で何とか震える手で口へ運ぶ。
「……う、美味いな。ところでタバコも吸っていいか?」
「やった♪ 全然いいよ」
「ありがとう」
この日、俺は初めてタバコは嫌いな味を緩和してくれると知った。
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新発売ジュースを飲んだら
1.二年から三年掛けて下半身の感覚が徐々に消える
2.基本的に死ぬが、適正があった場合のみ下半身が虫になる
3.上半身も少しだけ虫になる
4.主食が人間になる
5.死んだら腹から子虫が湧き出る
こんな感じです(*^^*)
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