うう

この森を離れると決めたので、森のバランスを無視して、一月魔物を虐殺してまわった。収納袋中で小屋を持ち運べるようになったのが嬉しい。

この森はアホみたいにでかいから、そこまで影響はないと思うが。

そうして、一月でジャンヌはレベル20を超えた。


「よし、みんな死の森に引っ越しするぞ。」


レベル上げも済んだし、長らくいた森を離れた。船旅は危険なので陸続きで、今回はちゃんとした道をとおって進む事にした。



「結構遠いな。道中でいろんな場所に寄って行こうか。まずはダンジョンにも寄って行こうかな。」


「私は早く子供が欲しいわ。」


「子供ができたら、子育てで手が離せなくなるぞ。先に楽しいことは済ませたほうがいいだろ?」


「それはそうかもしれないけど。」


〜お兄様私も欲しいです。〜


「ご主人様私も欲しいです。」


「ジン!私も私も!!」


「分かった、分かった。そのためにも今は思い出作りを楽しむぞ。」


俺たちの最初の目的地は世界に11ヶ所あるダンジョンの一つ、水ダンジョン。

この地域でずっと氷魔法を使ってたので、氷魔法の練度は高い俺たちには相性のいいダンジョンだ。

そこにも十一大クランがあるらしいな。めんどくさい。無視すればいいか。

港町から、10日かけて水ダンジョンのある街にたどり着いた。


「無茶苦茶でかいな。ダンジョンってやっぱり儲かるんだな。」


「なんだいあんたら、ここは初めてかい?」


話しかけてきた、行商人に金を払って色々教えてもらった。

冒険者ギルドでダンジョンについて聞き出して、生活用品を買い込んだ後、すぐさまダンジョンに向かった。

ダンジョンの始まりの階段を降りると、そこには別世界が広がっていた。

あらゆる場所に水場が存在した。水系の魔物も多く出ている。

ダンジョンは人でごった返しており、あらゆる場所で喧嘩が発生していた。

めんどくさいので、さっさと下の階層に降りた。


水ダンジョンは20階層までが上層、32階層までが中層。43階層までが下層。

それ以降は深層になるらしく、この水ダンジョンの人類が到達した最下層は64階層らしい。

最近は54階層ぐらいまでが限界になってるらしいが。


「とにかく、中層まで行ってみようぜ。」


「そうね。階層ボスもいないらしいしね。」


階層ボスとは、定期的に発生するがクランに殺されるらしい。一度殺されたら次の発生まで19階層は素通りできるらしい。


「今日は、十回層まで行こう。キリも良いしな。」


ダンジョンの魔物を倒しても光の粒子になって消えるだけだ。

そして、その魔物に対応してドロップがある。10階層に数匹しかいない巨大カニを倒すと、極上の味のカニが手に入るらしい。今日の晩御飯だな。

巨大カニは雑魚だった。スノウが凍らせて一瞬で光の粒子になった。

人がいなそうな場所で収納から、小屋を取り出して、晩御飯をみんなで作った。

晩御飯はカニ鍋だ。卵とじの雑炊も美味かった。


「これだけで、ダンジョンに来てよかったと思えるな。」


今まで、魔物は基本無視してきた。しょうがなく戦闘してもドロップしたものは食料以外無視してきた。


「何回層まで進む?」


「いけそうなとこまでで良いんじゃない?これより美味しいものが食えるかもしれないんでしょ。」


「そうだな。明日朝、カニを殺してから下の階層に行くか。」


「そうね。帰りも蟹を殺しましょう。」


翌朝、蟹を殺しまわっていると、一つのパーティーが絡んできた。


「おい、お前ら。その蟹を置いてどっかいけ。ここは俺たちの狩場だ。」


「誰だお前ら?」


「あん?この紋章がわからねえのか?」


男は腕に巻いている紋章のある布を見せつけてきた。


「青の勇気か。」


「そう。俺たちは十一大クランの一つの青の勇気だ。だから置いてけ。」


「なんでだ?」


「なんでって。馬鹿かお前は。この街で俺たちに歯向かうのか?」


「お前は、クランの名前を出して責任を取れる立場なのか?」


「違うが、この街ではそういうルールなんだよ。黙って従え。」


この街に来てから、やたらでかい顔をしている連中がいる。こいつらのクランだ。街の連中によると、こいつらは全員厳しい入団テストを超えてきた超エリートらしい。この街に生まれた子供は全員、青の勇気への入団を夢に切磋琢磨するらしい。

入団してからも、常に他のメンバーと比べられ、成績の悪い奴は退団させられるらしい。

つまり、こいつらは数万人に一人ぐらいがなれる選ばれた人間らしい。

青の勇気は何かあった時に、この街を守ってくれるから、尊敬もされてるらしいが、そんなことどうでもいい。

俺たちにとっては、こいつらは、地元ルールで威張ってるだけのヤクザなのでうざいことこの上ない。


「従わなかったら、どうなるんだ?」


「殺して奪うしかなくなる。俺達にもノルマがあるんでな。」


「じゃあ、そうしてくれ。」


「お前、頭おかしいんじゃねえのか?死ぬぞ。」


「さっさと来い。」


「死ね、馬鹿が。」


30秒でこいつらを瞬殺した後、こいつらの持ってる装備と紋章のついた布を剥ぎ取って、そこらへんに死体を捨てといた。ダンジョンが勝手に吸収するだろ。


「虎の威を借る狐はいつの間にか自分達が虎になってると勘違いするんだよな。

黒の牙とお前らで学んだよ。それにしても、こういう風に絡まれるとは、なんか、一波乱ありそうだな。」





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