ニョキニョキ

「ご主人様は盗賊ではなかったのですね。」


「まあな。盗賊というよりは狩人だな。」


アリシアには俺のことをご主人様と呼ばせている。


「なんで嘘ついたんですか?」


「なんとなくだな。特に理由はない。」


「そうですか。ご主人様は意地悪です。」


アリシアを膝に乗せて、耳をいじりながら可愛がる。


「とりあえず、お前のレベルを上げるから、速く大きくなれよ。身体強化のスキルを訓練していって、お前は近接戦闘を頑張るんだぞ。」


「分かりました。それがご主人様達のためにも私のためにもなりそうです。」


ジャンヌもスノウも新しい妹ができて、嬉しそうだ。特にスノウはよくアリシアを甘やかしている。

アリシアをパワーレベリングをしまくった。近接戦闘の訓練と併用して。


この世界には才能の差というものが明確にある。例えば、身長2mの男と幼児が同じ身体強化のスキルレベルだったら、もちろん身長2mの男が勝つように。

同じスキルレベルでも才能の差があることによって、スキルレベル3であってもスキルレベル4の者に勝てる場合がある。

ジャンヌには弓術の才能があり、スノウには氷魔法(水魔法と風魔法)と剣術の才能があり、アリシアには身体強化の才能がある。

俺にはおそらく何の才能もない。特に秀でたところはない。体が大きいぐらいだな。後、性欲も強い。


「アリシアは身体強化のスキルレベルが高いな。他のスキルレベルも。」


「やることがありませんでしたし、いつか自分一人で生きていかないといけないと思ってましたから。」


アリシアの身体強化のスキルレベルは3、アリシアは5歳らしいので、結構高い。

相当暇だったのだろう。


「スキルレベルもレベルも重要だが、森の中の歩き方や、走り方、戦い方、あらゆることを教えないとな。」


最初にパワーレベリングをしながら、森の中での闘い方を教えた日々を過ごした。

1月後にうちの町の領主がアンセムの街の領主に長女を殺したとかで、いちゃもんつけて慰謝料取ろうとしてた。

その長女の死体が見つかってないし、盗賊がアンセムの街の領主がやったという証拠もない。結局無視されただけだ。

無理矢理、アンセムの街に出兵するらしい。


「無茶苦茶バカだな。精鋭の護衛の騎士4人殺されたから、強引に進んだのか。本来ならもう少し準備があったのかもしれないな。」


計画が無駄に大掛かりなので、領主だけでなく他の人間も関わっているのだろう。


「面白そうだし。出兵に付き合ってやるか。」


アリシアは足手まといだが、何事も経験だ。連れてってやろう。

そうなると、アリシアのために装備を買ってやらないと、無駄にある蓄えを使うか。

海で取れた質の悪い塩を量産して、近隣の村や街に売った金だが。


「とりあえず、アリシアは自分の命だけを考えろよ。」


「はい。」


「別についていかなくてもいいんじゃないの?」


ジャンヌが俺に質問する。


「特に理由はないけど、直感だな。」


「それならいいわ。」


「領主どもはどうでもいいが、その街に住む奴らには何度も世話になってるしな。」


うちの町の領主が兵を引き連れて、アンセムの街に殴り込みをしていた。

アンセムの街からアンセムの街の領主が兵を連れて出てきた。


「久しぶりだな兄上、お元気そうで何よりですよ。」


「何をふざけたことを喋ってる弟よ。昔からアホだと思ってたが、血迷ったのか?」


「いえいえ、簡単なことですよ。簡単なことに気づいただけですよ。」


「簡単?」


弟の領主の兵の中から、フードを被った男が一人出てきた。

そしてその、男は兄の領主の前でフードを脱いだ。


「お久しぶりですね。領主様。」


「なっ!!お前は!!」


カイセルだ。久しぶりに見た。

なるほど、何が起こっているか見えてきた。


「領主様、この街の周りにオークリーダーの集団とドラゴン1匹、ワイバーン2

匹を忍ばせてます。これ以上は言わなくてもいいですよね。」


「何が欲しいんだ?」


「依頼料ですよ。あなた前回依頼料を払わなかったでしょ。その依頼料が欲しいんですよ。」


「それだけか?」


「慰謝料も含めて、依頼料の10倍の金額と領主様の家に伝わる宝剣を。」


「「なっ!!」」


あれ?兄と弟のどっちの領主も驚いんたんだが。



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