動きます

それから毎日、領主邸に矢文を打ち込んどいた。

オークはかなり大きい集団を作っており、総数300は超えるであろう。

1匹のオークナイトがこの集団のボスらしい。

オークの集団の上には定期的に赤いドラゴンが飛行している。あれが守護神なのだろう。


オークを殺すのはかなり簡単だ。なぜならゴブリンの親戚だから。

こいつらは死んだ同族食べる共食いの習性がある。これを存分に利用する。

オークには手出しはできないので、こいつらが食いそうな獲物を毒矢で殺して、放置する。そうすると勝手にオークが毒が回った獲物を食って、毒殺されて。

さらに次のオークがその毒殺されたオークを食べる。

狩人としての殺し方ではないが、今回はしょうがない。自動でレベルも上がるから、俺はオークホイホイと呼んでるが。


「物質強化した蜂も魔物の毒でも3体までが限界か。」


いくら、物質強化で毒性を強化した毒と言っても、限度がある。オークの死体を食ったオークで4体目から毒で死に至らなくなっていった。


「まあ、毎日これを繰り返しとくか。」


ジャンヌとスノウと一緒にこんな日常を繰り返していたところ。

1週間後、領主がこの街の冒険者ギルド長を屋敷に呼びつけけていた。


「いい傾向だな。オークの数も半分ぐらいになってきたし。」


「そうね。オークがバカで助かったわ。」


「流石に動き回ったんで、少し大人しくしときましょう。」


「そうね。相手も流石に勘づいてるでしょう。」


「ですね。」


それから1週間は大人しく、森で訓練してた。スノウも体ができてきたし近接訓練も十分に出来るようになってきた。


「スノウは才能あるよね。僕より」


〜そんなことはないです。〜


「そうかな?」


〜私は小さい頃から訓練してましたから〜


「小さい頃って、スノウは5歳だろ。ちなみに僕は3歳から訓練してるけど。」


〜私も3歳から訓練してました。〜


「そうなんだ。なんか事情がありそうだし、それはいつか聞くとして、今日の晩御飯は何がいい?」


〜ハンバーグをお願いします。〜


「好きだね。昨日も一昨日もハンバーグだったのに。デザートは?」


〜アイスクリームを〜


「またかい、もう4日連続だよ。ちゃんと歯磨きはするんだよ。」


スノウは俺がハチミツと牛乳と氷魔法で作ったなんちゃってアイスクリームを気に入っている。スノウは甘いものが好きだからな。

なんか、妹ができたみたいだ。


この一週間で、カイゼルを街の領主が問い詰めたところ、カイゼルはどこかに消えたらしい。仲間を引き連れてどこかに行ったらしく、ドラゴンもいなくなっていた。

騎士団が残りのオークを壊滅させて、今回は、多分丸く収まった気がする。


「それにしても、カイゼルはよく逃げましたね。」


「この仕事が割りに合わないと思ったんでしょうね。一領主と敵対するよりはってことでしょうね。」


「そうですね。これが原因でカイゼルの荒事の評価が落ちることはありませんからね。何せ表沙汰にできませんし。」


「そうね。どうせカイゼルはどこかで盗賊業でもまた始めるんでしょ。死ねばいいのに。」


「そうですね。死ねばいいです。」


スノウも頷いていた。可愛いやつだ。頭を撫でておいた。


「大ごとにならずに済みましたし、明日から訓練の日々が再開ですね。」


「そうね。少し森の奥に行きましょう。そこに拠点を作るの。」


「いいですね。強い魔物除けの魔道具も大金を払って、道中買いましたし。強い魔物が多い方が、僕たちも強くなれますしね。」


「今回、オークナイトと戦いたかったの。ちょうどいい相手そうだったしね。」


「僕は、オークリーダーですね。ちょうど良さそうな相手ですし。」


〜私はオークに剣で勝ちたいです。〜


この判断がファインプレーだった。なぜなら、カイゼルはジンたちのことを突き止めており、ジン達の家も突き止めていたからだ。

まあ、一足遅れたせいで、カイゼルはジン達のことを見失うのだが。


ーーー森の奥にて


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る