第47話 百合さんと舞台裏


スペイン料理が並びます。


恋する司書さんのお勧めのお店にやってきました。

今夜は姫子さん含め、三人の女子会です。


まずはワイングラスを片手に乾杯しましょう。


もちろんワインは司書さんだけです。

私と姫子さんはですよ。です。

(お酒は二十歳になってから♪)



――――



「ぴょんぴょん跳ねながら雪ちゃんの所に行って惚気ると思っていたんだけどなぁ」




あの日



緊張した水玉さんが待つ図書室


学級委員長くんが少し遅れて入ってきました。


目配せして書架の奥の方へ



「・・・受け取ってください」


かすかに聞こえる水玉さんの声


しばらくして小箱を手にした学級委員長くんと水玉さんが出てきます。


渡せたみたいですね。


図書室から出てゆく学級委員長くんを見送る水玉さん


腰のあたりで小さく手を振る姿


良い雰囲気です。



扉が閉まって ぴょんと飛んでしまう水玉さん

今回もぴょんするのですね。

思った以上にうまくいったようです。


私の視線に気が付いて 恥ずかしそうにちょっと会釈



窓際の席に座って顔を隠して くねくねしています。



ここまで見たら確定です。


雪ちゃんに連絡入れましょう。



§



「自分のことだけ考えているなら大成功なのにね」


感慨深げな司書さん


「陰で努力する学級委員長くんと、ライバルの辛さを感じて泣いてしまう水玉ちゃん きっと同じ価値観をもっているよね」


図書室の後 何があったのでしょうか


「雪ちゃんに言われて担任にも連絡しておいたのよ。もしかしたら荒れるかもしれないから注意してねって」


でも何もなかったように静かだったそうです。

水玉さんや百合さん、副委員長さんに動きがあったことは周知の事実


それでも恋バナ大好きな乙女が何も言わなかったのですからギクシャクしていたのでしょう。


逆に男子くんたちは少しざわついていたようです。

水玉さんからのチョコレートを期待していた男子くんが複数いたと言うことでしょうか。

水玉さん人気があるようですからね。



ひーくんにも聞いたのですよ。



「あいつに怒られるからさ 言わないようにしてる」


学級委員長くんの内情はわかっているようですね。

小学生にもいろいろと事情はあるようです。


ひーくんにまかせてこれ以上の追及はやめておきましょうか。



水玉さんのお母さまからも受け取ってもらったと嬉しそうにしていたと聞きました。

親子でそんな話が出来るって良いですね。


私の母は・・・ 不甲斐ない娘で申し訳ございません。



§



水玉さんについては静観することにします。


でもね。百合さんについては追及させていただきますよ。


ひーくんのお母さまからきちんと聞いていますからね。



――――



学校から帰ったら自宅にいるようにと厳命されたひーくん



お母さまは「何でもないから出てこないように」と奥へ追いやられてしまったようです。


『何でもない』って一大イベントが今からありますと宣言していますよね。


しかも2月14日 何もないって・・・無理があります。



そしてに可愛いお嫁さん(仮)がご訪問



「本当にお嫁さんみたいだったのよ」


聖女見習いのドレスと肩にはケープですからね。


母子ともに固まったようです。



『一生懸命に作りました。食べてください』


「プロポーズかと思っちゃった」


確かにそうですね。

でもこれでお付き合いしていないそうですよ。

もう一歩踏み出せないくらいの距離が心地よいのでしょうか。


来月はひーくんも負けずにキメて欲しいです。



「タキシードでも着せようかしら 花束持って」


お母さま本気でやりそうですよね。


ひーくんにとっては去年以上に悩む一ヶ月になりそうです。


3月14日

格好良いところを楽しみにしていますからね。



――――



「ところで司書さん 私に何か隠していませんか」


深淵を覗く時 深淵もまたこちらを覗いているのですよ。

恋を見守るもの 恋を見守られているのです。



「何のことでしょう」


言わないつもりですか。すでに目が泳いでいますよ。


目が笑っている姫子さん

何かやらかすときの表情です。今回は標的が私ではありません。

お付き合い致しますよ。


「お雪って本の販促ポップ書くの得意だってね」


「えっ そうなの それなら図書室用に一度書いてもらいたいな」


行きつけの書店がありまして、店員のお姉さま方と親しく接して頂いております。

推しの物語について熱く語ってしまったことをきっかけに紹介POPを書かせていただきました。

このお店は特集コーナーなどの組み方も独特で店員さんの個性が溢れております。

店員さんの中にはの作者様もいらっしゃいましてイラスト入りの熱いPOPもあるのです。

仲間に入れて頂けたのは素直に嬉しかったですね。

その後もきまぐれに作成しております。ここで推している作家さんが書籍化されると必ず書いていますよ。



>>>>お知らせ<<<<

私がフォローしている物語を執筆されている作者さま

書籍化されますと音無直筆POPがもれなく付きますよぉ(強制サービス)


売り上げに貢献できなかったら・・・ 

お詫びに私のサイン本にして店頭に ←やめなさい

>>>>>><<<<<<


店員さんのお姉さま方とはとても仲が良いのですよ。


「それなら恋バナとかもするんだ」


もちろんしますよ。

男性店員さんのだれがチョコをもらったかなんて噂していますよ。


「雪ちゃん その書店って・・・」


学校の近くにある『たけのこ書店』さんですよ。

優しそうな男性店員さんが美人の常連さんにチョコレートもらったらしいですよ。


「美人さんなんだぁ どんな人だろう」(棒)



店員さん オーナーの息子さんみたいですよ。


「私も興味あるなぁ お雪 紹介してよぉ」


「そう言うのはだめだと思うな。仲良くなったばかりだし・・・あっ」


どうしたのですか(すっとぼけ)

さてとお料理はまだありますし、夜は始まったばかりですよ。


「さあ キリキリ吐いて貰いましょうか」



同年代のようにお付き合いして頂ける司書さん

幸せは分かち合わなければいけませんよ。


ちなみに渡すとき店員のお姉さまに見られてますよ。


ふふふ

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