第28話 百合さんと恋する香り


高原の別荘と言えばお洒落な洋館ですよね。


そんな洋館が点在する別荘地の中、異彩を放つ黒塀の和風建築



高原に立つエリザベス家の別邸です。


蔵のある別邸ってなんでしょうか。色々と格が違います。



管理人さんご夫婦が住み込みで管理されておりまして、いつでも快適に利用できます。


いつもありがとうございます。




古民家風の佇まいではありますが、高速通信回線完備

オンライン会議なども出来る防音室 

厳重な防犯システムと認証システム 電子の要塞でもあります。


これなら高原でも快適にお仕事・・・げふん 旅行が出来ますね。



今回は百合さんたちが主役です。お遊びに徹しましょう。


じゅうななさいの秘密を知られる訳にはまいりません。


聖女の秘密よりもないしょのひみつです。





『いつものお姉さんたちとの旅行ですよ』

『よく行っている場所だから気軽に参加してね』


嘘は言っていませんよ。騙されたような顔をしないでくださいな。



「広いです。東京ドーム何個分ですか」



さすがにそこまで大きくないです。

東京ドームより大きなお屋敷って皇居ぐらいではないでしょうか。



※「東京ドームって大きく見えますけど、東京ドーム一個分の大きさしかないんですよ」

 (「アリスちゃんの豆知識」より抜粋)



――――



お屋敷では手作り体験が待っていました。


作るのはサシェ 置き型の香り袋です。

エリザベス先輩ならではの最高のおもてなしだと感じます。



「良い夢が見られるように枕元に置くサシェを作りましょう」



良い香りに包まれて眠るなんて素敵ですね。


材料として何種類も用意されたドライフラワーやアロマオイル 流石でございます。



「望む夢はどんな夢ですか。

 好きな人を思い浮かべる香りにすれば夢で逢えるかもしれませんね」


ほんのりほほが赤くなるランドセルガールズ


先輩のご指導に従っていくつもの香りから『あの人』を想い浮かべているのでしょう。真剣です。


エンジェル先輩も思案顔 

特定の殿方が心にいらっしゃるのはその時点で幸せなことかもしれません。


両思いも片思いも恋ですね。


百合さんの恋はどの状態なのでしょう。

両片思い、両想い、段階を飛ばして婚約内定ですからね。


恋心を見透かして盛り上がったご両親によって内定した婚約

さてご両親の想いと本人たちの想い

重なるのはいつのことでしょうか。


――――



選んだアロマオイルを混合してオリジナルの香りに仕上げます。


スポイトで丁重に滴下する作業


まさに魔法の液を作っている感覚です。

百合さんが『聖なる水』と言うのも間違っていないのかも知れません。



「爽やかな中に甘い香りがしますね。素敵な恋の香りですよ」


百合さんは彼からはそんな雰囲気を感じ取っているのですね。



「落ち着いた知的な香りですね。憧れているのですね」


水玉さんの恋は憧れですか。なんとなくわかる気もします。



「ラムレーズンのような芳醇な香り 深いですね」


エンジェル先輩は大人の香りを選んだようです。

コロッケの香りではないのですね。←酷いイメージ



「・・・随分と甘い香りがしますね。バニラですか」


「シュークリームの香りを目指しましたっ」


アリスさん シュークリームの夢を見たいようです。



私は殿方の・・・ではなく新茶の香りを目指して作ってみました。


個人的には満足な出来なのですが・・・




「深くて沸き立つ緑の香りですね。 

 お茶ですか・・・ それとも世界樹でしょうか」


冗談なのか本気なのかわからないですよ先輩 

百合さんがピクリと反応してこちら見てますよぉ



「私も世界樹の香りにしましてよ。お揃いの夢が楽しみでございます」


姫子さん お揃いは嬉しいですけど「世界樹」を強調しないでくださいな。

その香りお茶ですよね。



「深い緑にほのかな甘い香り 異世界の香りが致します」


エリザベス先輩 からかっていますよね。

柔らかな笑顔ですけどすっごく面白がっていますよね。




出来上がったサシェは香りをなじませるために袋に密閉してお持ち帰り


良いお土産が出来ましたね。



続きましてランドセルガールズのご希望で『エリザベス先輩の香り教室』開催です。


香りの歴史って奥深いのですね。

じゅうななさいになってもまだまだ勉強することは沢山御座います。



――――



夕食は地元の岩魚や山菜を中心とした和食を作っていただきました。


自家製のお豆腐は驚きのおいしさでした。私も練習すれば作れるでしょうか。



デザートにはプリンアラモード これは水玉さんの好物です。


エリザベス先輩がさりげなく聞き出して用意したようです。

本当に隙のないお方です。



――――



夜会を前に衣装合わせ



「今夜のドレスコードに合うかな」


などと会話が聞こえて参りまして、顔を青くする水玉さん



「私 ドレス持ってきていません・・・」


横でコクコクと頷く百合さん


そうですよね。誤解しますよね。大丈夫ですよ。素敵な衣装を用意してくれたではありませんか。



『お泊りはホテルではないから可愛いパジャマを持ってきてね。可愛いのが良いですよ』


うんうん きちんと事前に依頼していますよね。



小学生にドレスコードなんて言うからいけないのですよ。

エリザベス先輩は本気で言っていますけど・・・


夜会のドレスコードは『パジャマ』です。


宣言しておかないと爆乳姫子さんがを用意しそうでしたから牽制です。



業務連絡:爆乳姫子さん、エンジェル先輩 今夜はきちんとください。




さてお風呂を頂いた後は、いよいよ『夜会』です。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る