第20話 百合さんと友達の話




気が付けばすでに良い時間


ランドセルガールズが帰ってまいりました。



「ただいまぁ」「おじゃまします」



百合さん 我が家のようですね。



「いらっしゃい 待ってたよ」



なぜエンジェル先輩が出迎えるのですか。

初対面のふたりが固まっていますよ。


手をワキワキするのやめてください。 泣かれますよ。 通報しますよ。


お巡りさん この人です。



初めは驚いていたふたりですが、一瞬で打ち解けてしまう不思議。

この特殊スキルは何でしょうか。 



夕食時には私の父も懐柔したようでデレデレ

特殊スキルは年上にも効果があるようです。



お父様 あとで母に怒られても知りませんよ。





早めに入浴も済ませてしまいましょう。


小学生組のご希望により私と百合さんが先に入ります。


ふたりとも髪のお手入れに時間がかかるのです。



脱衣所にて


「芸術の為なら脱ぎますっ」



百合さん どこで覚えてきたのですか。


爆乳姫子さんですか・・・ 悪いこと教えるお姉さんですね。


今度教育的に揉んでおきましょう。



わちゃわちゃと洗い合いした後、一緒に湯船に浮かぶ百合さん


背伸びをしていますがやっぱり小学生


まだまだ色々とお子様ですね。 ふっ(大人気ない)



――――



私たちと入れ替わるように水玉さんとエンジェル先輩がご入浴


エンジェル先輩自重してくださいよ。お願いしますよ。


水玉さん 何かあったら緊急呼び出しボタンを押すのですよ。




さて百合さん 今夜はお姉さんが髪を乾かしましょう。


きちんと手入れしていますね。美しいです。


ヘアケア用品いっぱいありますからね。豪華にお手入れしましょう。



私に憧れて髪を伸ばしていると聞いた時は泣きそうになるぐらい嬉しかったですよ。


ずっと憧れの女性でいられるように努力しますからね。



――――



私の髪が乾くころ 水玉さんとエンジェル先輩がご帰還



報告によれば水玉さん 今日は水玉ではなかったそうです。


でも名前に変更はありません。ハートさんにはなりません。



水玉さん曰く エンジェル先輩はすごかったそうです。


何がすごかったのでしょうか。


あえて聞かないでおきましょう。




人生には知らない方が良いことも多いのです。





可愛い


すっごく可愛いです


うさぎさん柄のパジャマが世界一似合う小学生 百合さんです。


お星さま柄のパジャマの水玉さんも可愛いですよ。



ふたりともヘアオイルや乳液で磨き上げましたのでつやつやです。


普段使わないケア用品を使って興奮気味なところも可愛いです。


背伸びしたいお年頃なんですよね。



丹念に髪を梳ってちょっとお高いヘアオイルを使ってみると



「ほわぁ」



鏡の中の自分を見て可愛いため息の百合さん


現実でその声を聴く日が来るとは思いませんでした。



水玉さんもエンジェル先輩ご指導のフェイスケア


真剣に取り組んでおります。


そんなに磨き上げて誰に見せたいのでしょう。



ところでエンジェル先輩


シルクのパジャマは似合っているのですが・・・


夜はつけない派なのですね。すっごくえっちです。




お肌と髪のお手入れの後は心のお手入れです。



さあお姉さんに恋バナ聞かせてくださいな






「友達から聞いたお話なんですけど・・・」


はいはい 百合さんのお友達の話なんですね。



「好きな男子がいるんです。友達に・・・」


はいはい お友達の話ですね。



「男子ってかわいい服を着ていくと褒めてくれるって言うじゃないですか」


常識ですよね。私も知識だけは知っています。知識だけは・・・



「かわいい服を選んでも全然褒めてくれないんですよ。私に興味がないのかなって・・・」


あの・・・ お友達の話ですよね。




「でも図書当番さんの時、ずっと百合ちゃんのこと見てたよ」



水玉さんが爆弾発言です。そこ詳しくっ



「百合ちゃんが受付で本を読んでいる時 チラチラ見てたよ」


図書委員さんは受付カウンターでお隣に座るようですからね。



「ほかの男子と百合ちゃんが話していると邪魔するしっ」


おや 嫉妬ですか。 お可愛いことです。



「お片付けだって別々にすれば早く済むのにずっと一緒だったしっ だったしっ」


これは見せつけられた仕返しでしょうか。


水玉さん興奮気味です。



百合さん「えっ」「あっ」しか言わなくなってしまいました。



私からも追撃しましょうか。



「貸してあげた詩集は役に立ったかしら」



あの時はびっくりしましたよ


いつもなら私の蔵書からライトノベルを中心に借りる百合さんですが



「『素敵な大人が読んでいそうな本』を貸してください」



表紙も美しい恋の詩集を貸し出しました。



確か理由は読書感想文を書く為だと聞いておりました。

理由を答える前にずいぶんと間がございましたよ。理由をその場で考えましたよね。


彼の前で広げる本を考えているなんておねぃさんは知らないから大丈夫です。(棒)



想い人からは『大人の女』に見られたかったのですね。


なかなかの策士と言いますか演出家です。



チラチラ見られる視線を感じながら大人の女を演じる百合さん


恋する乙女は頑張りました。お姉さん妄想だけで悶えてしまいます。



百合さんの努力を褒めたたえながらの情報暴露



「言っちゃダメぇ」



残念です。もうお話してしまいました。


可愛いのですがそろそろ許してあげないと湯気が出てきそうです。




ところでエンジェル先輩 さりげなく横に置いてあるスマホ 撮影中ですよね。


きちんとミニ三脚まで使っての撮影ご苦労様です。良いお仕事でございます。

その動画あとでクラウドにアップしてくださいませ


これはお宝映像です。


百合さんのお母様と一緒に楽しませていただきます。



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