第10話 恋する街角【偶然を装う乙女】

今日は大型商業施設にてお買い物


親友の爆乳姫子さんとやってきました。


そうです。デートですよ。

相手が女性でも腕を組んで歩けばデートと言うのです。(新解釈)


女子校育ちの私たち


殿方と腕を組むなんて都市伝説です。

みなさん騙されてはいけませんよ。あれはライトノベルや映画の中だけのお話です。



腕を組んでのデート中

お相手は爆乳姫子さん


察しの良い方はもうお分かりかと存じます。


ええ 腕に何やら柔らかなものがあたります。

私の位置に殿方がいらっしゃればとても良い思いをされることでしょう。


しかし女性同士となりますと、格差を思い知らされるのが現実でございます。

しかも本日のお買い物の一つがですね・・・


――――


「このデザインでお客様のサイズは・・・店頭にはありませんので在庫を確認いたします。少々お待ちください」


「こちらの新作がお勧めですよ。わきをすっきりと見せてワンサイズアップできます。きれいな谷間が作れますよ」


店員さんの対応の違いに何かを削られる感覚を覚えます。


別に店員さんを責めているわけではございませんよ。

爆乳姫子さんが魅力的なだけなんですよ。

私は普通なんです。普通です。


・・・いえ ちょっとだけ慎ましやかかもしれません。


でもまだ『じゅうななさい』です。成長期なのです。

今に見ていろでございますです。


姫子さんは結局サイズがなくお取り寄せとなったようです。

私が遠い目をしている間に手続きは完了しておりました。





本日のランチはフードコート

姫子さんとファストフードを堪能中


私の手にするバーガーのダブルサイズを頬張る姫子さん

これが秘訣なのでしょうか。

私もダブルサイズにしましょうか。


姫子さん何を食べても美味しそうな表情をされます。

これも大切な魅力だと思います。

彼女はモテるんですよね。特に後輩(女性)からは絶大な支持を集めております。

優しいのですよね。


もちろん殿方にも人気ありますよ。何人から告白をされたのでしょうか。

羨ましい限りでございます。

そんな彼女の傍に居れば・・・殿方の視線は万乳引力にて彼女へと向かいます。

私は見て貰えていないようですね。


良いのです。強く生きていこうと思います。


――――


今日は部活動でもあったのでしょう。

制服姿の高校生をちらほらと見かけます。



注文カウンターわきの壁に隠れるようにひとりの制服女子高生さん

スマホを鏡代わりに前髪を整えて 笑顔を作って そわそわ


なにやら気合が入っております。

お可愛いことです。



ふと見れば男子学生くんがカウンターにて注文中

もしかしてふたりでお食事デートなのでしょうか。


でも隠れたところで彼女は何をしているのでしょう。



注文を終えた男子学生くん

バーガーを乗せたトレーを手に席へ向かおうと振り向きます。

一人分しか乗せていませんね。



それを待っていたように飛び出して行く制服女子高生さん



「先輩っ 偶然ですねっ♪」


ちょっと驚きながらも笑顔で応える先輩



「何を買いましたか 私も同じのにします。」


先輩はダブルバーガーのようです。



「そんなに食べられないですよぉ 私は普通のセットにします。待っていてくださいよ。 絶対ですよ。」


いや 女性でもここにダブルバーガー美味しそうに食べている人がいますよ。


律儀にトレーを持ったまま待つ先輩

すぐに購入できたようでふたりで仲良く席に向かいました。



先輩と『偶然』会ったので一緒にお食事(デート)をするのですね。

先輩とサイズ違いでも同じメニューですから間違いなく美味しいでしょう。


とっても甘いですよね。きっと・・・



この恋愛劇場を特等席で見せられた私たち

姫子さんとふたりで萌え死ぬところでした。



仕方ないですね。このポテトを食べさせてあげましょう。


はい 姫子さん くち開けてください。「あ~ん」ですよ。

見せつけてやりましょう。


(謎の対抗意識)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る