第5話 百合さんと聖女さま

『聖女の術』


自分からやっておいて押し寄せる後悔

かなり痛いですよね。


見なかったことにしてもらえないでしょうか。


そうです。何もありませんでした。何も起こらなかったのです。

痛いお姉さんなんて存在しないのです。



お風呂を覗いてみたら今度は大人しくシャワーを浴びているようです。

(美少女小学生の入浴を覗くあぶないお姉さん)



今のうちに動物に詳しい友人に電話にて問い合わせておきます。


友人によれば緊急処置は問題ないようですね。ほっとしました。

すぐにこちらに来てくれるとのこと 優しい友人です。


ついでと言いますか心配事を相談しておきましょう。


実は聖女だとバレてしまったんですよ。



「百合ちゃんにバレたの? 困ったね。 いっそ弟子にするとか? 聖女見習い?」


遊ばれてしまいました。相談する人を間違えたようです。





ドライヤーの音がしてしばらくすると百合さんが戻ってきました。


私の服を着て萌え袖の美少女

まだちょっぴり目が赤くなっています。 心配で大泣きしていましたからね。

反則的に可愛いです。可愛いが渋滞しています。



ちょっぴり元気になった子犬さんを見て安心したご様子


さあココアを入れましたから温まってください。



ちらちらとこちらを見る視線は・・・ やっぱり・・・ ですよね。



「雪ねえさま」


「はいっ」


「助けてくれて ありがとうございました」


「いえいえ どういたしまして」



ココアを一口 視線がちらちら



「雪ねえさま」


「はいっ」


「雪ねえさまは聖女さまですか」



うわぁ 直球きました。



「違いますよ」


「本当ですか。 聖女さまではないですか」


「普通のお姉さんですよ。 小さなころからずっと一緒だったでしょ」


そうです。

私は普通の『じゅうななさい』の乙女です。

ここ大事です。『じゅうななさい』です。



これ以上の追及はありませんでしたが、何か勝手に確信していますね。


ここはなかったことにするのが大人の対応と言うものなのですよ。

もう五年生なのですから淑女の嗜みとして覚えておいてくださいね。



――――



可愛い子犬鑑賞会をしばらく続けておりますと電話をした友人が来てくれました。



「子犬ちゃんは大丈夫かな」


私の親友『爆乳姫子』さん(仮名)です。

どんな女性なのかは説明を省略致します。母性溢れる方とだけ・・・


百合さんとも仲良しなんですよ。



「百合ちゃん 偉かったね」


「雪ねえさまが助けてくれました」


「そうだね。『聖女の術』は成功したみたいだけど・・・ 念のためお医者さんに行こうね」


「はいっ お願いします」


姫子さん? 何気にすごいこと言いませんでしたか。

そのやったぜ顔やめてください。



すでに動物病院へ連絡していただいたようです。爆乳姫子さんは出来る女なんですよ。


検査結果は骨なども含めて異常なし 冷えと空腹で元気がなかったと診断されました。


それに飼い主さんも判明しました。以前予防接種にみえたことがあるそうです。

意外とご近所さんでした。もう安心です。



「飼い主を探し出すなんて『聖女の力』ってすごいね」



だから姫子さん遊ばないでください。百合さんがキラキラしながら見ていますよ。



すぐに飼い主さんがお迎えに来まして、お医者さまが百合さんの武勇伝を語ってくれました。

待合室の方みなさん拍手です。


真っ赤になって照れる百合さん可愛かったなぁ



そしてこの日 私の中の何かを代償として聖女伝説が生まれました。


聖女『ユキ・オトナシ』と申します。以後よろしくお願い致します。

(何かが壊れました)

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