一世一代の告白を邪魔するのは未来から来たタイムリーパー!

 夏秋冬 陽(はるなし はる)は幼なじみの早峰京子へ告白しようと決意した。しかしその矢先、クラスのマドンナ・天川小春が彼へ告白してきたではないか! しかも彼女はタイムリーパーで、このまま陽が京子と付き合えば3年後に刺殺されると言う。と、そこへもうひとりのタイムリーパーで、前世陽と愛し合ったが結ばれなかったと言い張るお嬢様が登場! 陽はいったいどうなってしまうのか!?

 キワっキワな会話劇を展開する小春さんとお嬢様は「意識だけタイムリープしてきた」と主張する人たちで、信憑性はゼロ。ここだけでもおもしろいのに、陽くんが話の都合に流されず、いいツッコミをしてくれることでさらに劇が際立っているのですよね。

 が、それだけじゃないんです。これまでのカオスな与太話が、オチに至って一気にひっくり返るんです! 力尽くなコメディかと思いきや、実は緻密な構成に翻弄され、フィニッシュブロウへ誘導されていたことがわかる——ぜひともこの最高のやられた感を味わっていただきたく。



(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=高橋 剛)