第3話 間違ってこの世界に来てしまった。

 だいたい、美というものは、不確かなものです。


 私は、間違ってこの世界に来てしまったのだ。


 私は父方も母方も芸能一家で、生きづらさを感じていた。


 父は浅草を取り仕切っていた人間のこども。


 母は、メイクモデル。


 父と母の最高傑作は、その長男だった。


 見目麗しく、赤ん坊の頃は女の子に間違われるほどかわいらしく、3才でランウェイをかけぬけた。


 身長が伸びず、芸能界をあきらめたというが、世の中、身長が160センチ台で活躍している芸能人はいる。植田圭輔さんとか、加藤諒さんとか。


 そんなふうに芸能界で性根がねじ曲がった兄は、私に対して虐待、具体的に言えば、成績が悪いと新聞で作ったお手製のハリセンを使って頭をたたく、辞書の角を使って頭をたたく。


 そこまで虐待をしても、美しい顔は歪むことなく、美しさを増した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る