第18話

 いつも通り学園を終えた僕はリスタとともに特許違反の賠償金を回収するため、ドラゴンを倒したと思われる男女パーティーのいる場所へと降り立った。


「こんにちは……いや、こんばんはかな?とりあえず金銭を回収しに来ましたよ」

 

 この世界特有の人を襲う化け物を倒す冒険者……世間から弾かれたような荒くれ者が多い冒険者を統括している冒険者ギルド。

 彼ら、彼女らが居た場所が冒険者ギルドの応接室であったため、僕は周りの職員の静止を振り切って勝手に冒険者ギルドの応接室へと入り、口を開く。


「……やはりお前らは傲慢だな」


 応接室の中には特許違反をした男のパーティーの他に強そうな男が一人と中年の男性が一人。

 中年の男性がまるでゴミを見るかのような視線を僕に向けてきながら口を開き、応接室の中


「とりあえずはそこに座ってくれ」


「えぇ。良いでしょう……時間もありますしね」

 

 僕は中年の男性の言葉に従って椅子へと腰を下ろす。


「あっ、リスタも座っていいよ?」


「い、いえいえ!私はこのままで大丈夫です!」


「そう?なら良いよ」

 

 僕の背後に立つリスタから視線を外し、目の前に座る中年の男性へと視線を向ける。


「冒険者とは一般市民の安全を守るためにある……冒険者には素行の問題も多いが、それは我々冒険者ギルドの職員が抑え、しっかりと迷惑をかけないようにしている。我々は一般市民を守る砦なのだ」


「えぇ、そうですね」


「こいつらは未来が期待出来る若手のホープであり、これから一段上の冒険者となるために装備を整えたりしている最中なのだ。今、彼らからお金を取られるのは不味いのだ」


「なるほど。それで?」


「どうか……今回ばかりは彼らからお金を取らないでくれ。彼らの強さは市民の安全に直結するのだ。市民の安全のため、どうか……お願いしたい」

 

 冒険者ギルドの人間と思われる中年の男性が頭を下げる。


「わかりました。良いでしょう」


「良いのか……?」


「えぇ。構いません。別に自分は誰が払おうと興味はありません……それでは、ん」


 僕は中年の男性へと手を向ける。


「……なんだ?」


「いや、彼ら、彼女らからは取らないので、冒険者ギルドが払ってください」


「……ッ」

 

 僕の言葉を受け、中年の男性が表情を歪める。


「我々は特例を作らない。一つの例外は一つに終わらない……違反したのはそちらだ。それを市民のためにあるんだという言い逃れで払わないだなんて許さない。自分としては金がもらえるなら結構だ。彼ら、彼女らから払われたのならそれでいいし、冒険者ギルドから払われたならそれでいいし、何ならこの街の市民が少しずつお金を出し合うでも良い……ただ、お金がありさえすれば良いんだよ」


 僕は笑みを浮かべたまま、手を差し出し続ける。


「金、払おっか?誰でも良いよ?」

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