第17話
人里から離れ、魔物がこの世の春を謳歌しているとある森の中。
幾つもの木々が倒れて燃え盛り、青々とした森ではなく地面が剥き出したとなった広い大地の中で一体の巨大なドラゴンが屍を晒している……そんな中。
「はぁ……はぁ……はぁ……なんとか、なったか」
「ですね」
その側で息を切らして達成感をあらわにしている数人の男女……彼ら、彼女らがあのドラゴンを倒したのだろう。
「コングラッチュレーション」
僕は拍手をしながら男女の元へと近寄っていく。
「……何者?」
いきなり近づいてきた僕に対してその場の全員が困惑をあらわにしながら警戒心を見せる。
「なんかドラゴンを君たちにけしかけた黒幕のような登場の仕方をしたけど……別にこの一件に関しては無関係だし、君たちがドラゴンと戦うようになった経緯も知らないからね?……ただ、さ。そこの男は既に僕がここに来た理由はわかっているでしょう?」
「……ま、待ってくれ……ッ。俺はッ」
「君たちの事情など知ったことではない……僕にとって興味があるのはただの事実だ。君、特許を更新していないのに僕の魔法を使ったね?」
「……ぅ」
「「「……ッ!」」」
「特許料を支払わずに魔法を使う……その罰則は当然わかっているよね?発動一回につき、三年分の特許料だ。払えるかな?」
「……ま、待ってくれッ!今の俺たちはもう一つ冒険者としてランクアップするための準備中で……」
「あのさ……僕も学園を抜け出してここに来ているから出来るだけ早く済ませたいんだよね。払えないなら財産を差し押さえる……ただそれだけ。どうする?」
「……ッ」
僕の言葉を聞き、特許を無視して魔法を使った男が俯いて下唇を噛みしめる。
「待ってちょうだい!私たちはこれから大変な時期なの!必ず!必ずお金は後で払うから!ツケにしてくれないかしら!」
「断る。僕らが融通きかないのは君たちは知るところだろう?」
「……こ、断られたらどうなるか……」
男の代わりにまっすぐ要求を突きつけてきた女の子は自分の手にある杖を持ち上げ、僕の方へと向けてくる。
「はぁー、馬鹿だねぇ……■■■」
僕はそんな彼女に向けて魔法をぶっ放す。
「……ぁッ!」
彼女にかかる重力が増加し、そのまま彼女を押しつぶす。
「僕らが特権階級たる理由。それを知らぬわけはないだろう?……死にたくないなら大人しく払いな」
「……わかった。払う。だが、差し押さえられるものくらいは選ばせてくれないか?」
「それなら良いよ。僕が欲しいのは金銭だからね……さっきも行ったけど学園を抜けて来ているんだ。また午後に来るからそれまでに用意しておいてね?あっ、逃げても無駄だとは行っておくよ。場所はわかるからね?じゃあ、また後で」
金銭の要求を終えた僕は満足し、再び空を飛んで学園の方へと戻った。
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