第13話

 始まった僕の学園生活。

 それは基本的に平穏なものであった。

 登下校並びに昼食の時間はリスタと過ごし、それ以外の時間はクラスの女子たちと軽く談笑する。

 学園の授業の内容も、前世において高等教育までほとんど終え、今世でも優秀な頭脳でもってそこそこの教養を身につけていた僕にとって難しいものでもなかった。


 強いて不満を言うのであれば。

 実技の授業中……今、このとき。

 僕がどれくらい手加減するかで頭を悩ませていることくらいだろう。


「Сжигайте кислород, создавайте пламя」


 僕にとって初めてとなる実技の授業の内容は言ったてシンプルであり、ただ生徒が的に向かって魔法を打ち、それを先生が評価するというものだ。


「魔力の練りがまだ甘いな。魔力操作をもっと極めること」


「はい」


 授業の担当となっている先生は一人。

 生徒一人一人が魔法を他のクラスメート観衆の元、魔法を打っていく形である。

 

「うーん」

 

「どうしたの?」


 僕が悩んでいると隣にいた女子が僕へと疑問の声を投げかけてくる。


「いや、どれくらいの魔法を使おうかなって思って……」


「ハッ!大した魔法も使えないやつがいきがんなよ!どうせ全力で打ったところで何の驚きもないぜ!お前のメッキが剥がれるのが楽しみだぜ!」

 

 そんな僕の言葉に対してクラスの男子の一人がヤジを飛ばしてくる……普通にビビって逃げ出して、それからほとんど絡んでこなかったのによくもまぁ、そんな吠えられるね。

 ちょっと見ているこっちが可哀想になって来るレベルだよ?


「ちょっと、いきな」


「よし、格の違いを見せつけることにするわ」


「えっ……?」 


 だが、売られた喧嘩は買う。

 そのモットーで動く僕は一切の躊躇なく格の違いを見せつけることを決意する。


「次はアレスだ」


「はいさー」

 

 僕は先生の言葉に返事をしてから立ち上がり、先生の方へと向かう。


「初めてだろうから一応説明しておくと、だ。やることは実に単純だ。あの的に向かって魔法を撃つだけ……出来るか?」


「問題ありません」

 

 僕は先生の言葉に即答し、魔法を撃つ準備を始める。

 魔法使いと言えば、杖……そんなノリで作り出した特に何の意味もない杖を取り出した僕は呪文を口にする。


「■■」

 

 呪文をガッツリと省略した僕は一瞬で魔法を発動させる。


「……は?」

 

 僕の杖より迸り、進んでいった蒼き炎の龍は的を一瞬で塵へと変え、そのまま遥か天空へと昇っていく。


「堕ちろ」

 

 そして爆発。

 僕の魔法によって出された龍はド派手に爆発して消えていった。

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