p6.

学校の怪談なんて、教室にいれば、聞きたくないのに入ってしまう。

呪文をとなえるといなくなるお化けもいたし、間ちがうと殺される話もあった。


外からは雨の音と、ときどき風の音がして、階段の下は暗かった。


毛布を頭にかぶって、さむくて体に毛布をまきつけていると、

まるでだるまのようになった。

うしろに余った毛布をひきずりながら、階段を降りた。


そのときの傷跡が、今でもうっすら、額の右側にある。


わたしには傷が残った。

いなくなったぬいぐるみは、そのうち忘れられてしまった。

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