第4話 これが固有スキルか…

 セシルが丁寧に教えてくれた通りの手順でステータス画面を開いてみた。

 ―――――――天羽奏音――――――――

《種族》         人族

《固有スキル》      音楽ゲーム(音ゲー)

《武器種》        弓等

《魔法》         適性なし

 まさかの固有スキルに音ゲー来たーーーー!?

 魔法は、まぁ言ってた通りだししょうがない、使ってみたかった……

 武器種が、弓? 音ゲーだぞ……わけわかめだ。あと等ってなんだ、等って。

 音ゲーマーだから音ゲーなんかぁ、安直やなぁ。異世界人が前世にやった事とかが反映される感じなのかな。

 てか音ゲーて、何をどうすんのよ。

「ねぇカノン、音楽げーむって何?」

「俺が元居た世界にあった娯楽といえばいいかな」

「ふむふむ、音楽って付いてるから音楽に関係するやつってことだね!

 簡単でいいからどうゆうのなのか教えて!」

「うーん、そうだなぁ。分かりやすく言うと音楽のリズムに乗るゲーム、っていうのが一番近いかな。他の異世界人からスマートフォンっていうのは伝わったりしてるかな?」

「うん! 前に見せてもらった事があるよ! 画面ってやつが光るんだよ!」

 伝わってるなら見せた方が早いよな。オフラインで出来る音ゲーがあるから異世界でも出来るはず。起動早くて助かるわぁ。オフライン様様だ。

 てか充電少なっ! あ、丁度いい切り株見っけ。

 このくらいの高さってやりやすいんだよなぁ。

 とりあえずそこまで難しくないやつの方がいいよな。伝えやすいし。

 待って、木の繊維が地味に滑り止めの役割しててやりやすい!

 てれれーん、俺は木の切り株の新たな可能性を発見した。

「じゃあこれを見てくれ。俺のスマートフォンだ。そして今やってるのが音ゲーだ」

「おぉぉ! 画面の上の方から四角いのとか長いのとか、矢印があるやつとかが流れてくる! 流れてくるやつを叩いて音を奏でてい…………うわぁぁ!」

 実況みたいになってるなぁ、まぁ初めて見たらそうなるのかもな。

 俺も上手い人の音ゲー手元動画をITubeで初めて見たときはテンション上がったもんだ。

 どうしたらこんな上手に出来るのか、綺麗な打音になるのか、運指になるのか。

 情報量が多すぎて即ダウンロードして目一杯遊んだ思い出がある。

 あの時は音ゲーに対するモチベーションが凄く高かったなと思う。

 今でもあの頃までは無いとはいえ一般人程度のモチベーションはあるけども。

 ん? なんだこの音、セシル叫んでどうしたんだよ。ん? 何か周りの木が数本倒れてるんだけど……?

 ノーツ叩いてた時に何があったんだ。

 とりあえず周り見ながらやってみたら分かるはずだよな。画面見ないでやったり巫山戯てたのがここで功を奏するとはね、誰が異世界でこんなのが役立つと思うんだよ。

 多分この役立ち方は人生において普通は味わないもんだろうな。

「なんだこれぇ! 俺を中心に真っ直ぐノーツが飛んで行ってる!?」

 す、すげぇ……これが固有スキル音ゲー、か。

 まさかの叩くんじゃなくて送る方とはね、

 使いこなせば強いかもしれん、知らんけど。

 あ、だから武器種が弓判定なのか。

 けど弓"等"って結局なんなんだろう。

 それが分からん……

 これは音ゲーをするとノーツを飛ばせる仕組みってことで間違いは無いよな。

 木を倒せるって中々な火力があるんじゃ……?

 これならダンジョンでも魔物とか戦えるし倒せるじゃん。

 あ、やべセシル倒れとる、俺のせいだ。

 申し訳ねぇ、こうなるのは予想外だったんだよ。いや、言い訳しちゃいかんな。

「セシル大丈夫か! すまん、俺のせいだ」

 途中からスキルの性能に魅入ってて気付いてなかった。

 もしセシルに当たっていたと思うと……

「カノンのせいじゃないよ! ちょっと驚いて尻もち着いただけだよ。この通り元気もりもり!」

「よかったわ、これで傷付きでもしたら恩を仇で返すところだったよ」

「それにしても、これが音ゲーっていうんだね!見てて面白かったし、なにより固有スキルも見られて良かった。これなら十分魔物と戦えるね!」

「そうだな。とりあえず戦ってみたいし、装備も少し揃えたいから森を抜けたいな。セシル案内してくれるか?」

「もちのろんだよー。近くに少し大きめの街があるんだよー」

 街か、てっきり序盤は村かと思ってたわ。

 理由は分からないが、RPGゲームとかでもスタート地点って村が多いイメージがある。

 川水を飲んで水分補給をした後キノコを少しばかり採集して、俺とセシルは森を出発した。

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