第7話 動き出す陰謀

 湿地帯を3人の男が歩いている。赤い髪の男と茶色い髪の男と黒い髪の男だ。3人とも屈強な体をしている。


男たちは水を見つけるとぐびぐびと飲み込んだ。


 赤いスニーカーを履いた赤い髪の男が立ち上がる。男の正面から何かが首に向かって、ハサミ形状が似ているものが男の首に当たった。


「さあ、サファイアキノコを採取しに行こ」


どさりと言う音がし、水を飲んでいる茶色い男の顔に何かが付いた。男の顔には赤い液体がべっとりと付着していた。


男の横に赤い髪の首があった。ぶんぶんという小型犬並みの大きさのハサミにべっとりと赤い液体を付けたクワガタが居た。


 茶色い髪の男は驚いて、立ち上がると目の前に骸骨で人の顔をした蜂が居た。それは腹部を男に突き刺すと男は野垂れ打ちまわった。


 複数の蜂が集まって、数匹で男を噛んで連れ去り、しばらくすると男の悲鳴が上がり、「お母ちゃん」と呼ぶと声はなくなった。 


 へたり込んでいた黒髪の男は、近くに大蛇を見つけた。男は走って大蛇とは別の方向に走ろうとすると体は反対に向いているけど、足は大蛇の方を向いて、大蛇に向かって歩き出した。


 蛇が男を見つめると男に絡みついた。全身に巻き付いたところで男の体からベキベキという、何かが砕ける音を聞いた。蛇の隙間から線状の生物が出てきた。


 でかい蟻が赤い男を通り越していくと赤い靴だけが残り、クワガタが赤い靴を見ていた。




 野鳥の鳴き声が響く、森の中、シャーロットとキースとヘクター


「随分と中に来ましたね」


 シャーロットはそう言うと地面に座り込んだ。


「シャーロットちゃんとキースのおかげでだいぶ討伐数が上がったよ」


 キースはヘラヘラしながら、ご機嫌を取るように言った。


シャーロットは笑って


「そんなへりくだらなくてもいいですわ。私たちは仲間なんですから」


 シャーロットを背にキースとヘクターはゆがんだ笑みを浮かべる。キースは頷き、シャーロットの横に立ち座る。視線を杖に向けて、位置を確認するとすっと杖を抜き取った。


 一瞬の出来事に戸惑うシャーロット


「え?」


 そして、ヘクターはシャーロットに乗りかかった。


「何をするんですか!」


 キースは獲物をいたぶるような笑みを浮かべる。


「どんなに優秀な魔法士でも、杖がなければ只の女なんだよ」


「離しなさい!」


「駄目だよ、君には高いお金を払ったんだ、君はなんとか学校の主席を鼻にかけて、あんな値段を吹っ掛けたんだろうけど、その学校の主席はあの案内所にもいたんだよ。しかも、君よりベテランではるかに安い値段で請け負ってくれる」


 ヘクターは口角を釣り上げて笑う。


「俺はキア国立魔法学校の主席を目指していた。でも、魔法の適性が低く、10位にも入れず、親に怒られた。ある日、俺を罵倒していた両親は目の前で血を流していた。」


「それとこれと何の関係があるのですか!」


「主席の子を産めば、主席の子供で俺も主席になれる。」


「何を言ってるんですか?そんなことある訳ないでしょう!」


「五月蠅い!子を産むぞ!」


 ヘクターは手を振り上げた。目を瞑るシャーロット。どさっという音が聞こえた。


 目を開けると床には振り上げたヘクターの右手があった。蜂の頭部と蟷螂の刃を持ち、サソリの尾を持った生物の手の鎌がヘクターの右手を断絶していた。


 恐怖のあまり、カチカチと歯を鳴らすシャーロット。鎌は左手を断絶し、股間を切り裂き、その後、尻尾で首を挟み込み、切断した。


 キースは走って逃げだした。蜂の複眼がシャーロットを捉える。鎌を振り上げる。


 その時、蜂の頭は下を残し、吹っ飛んだ。


 周囲を確認するとそこに白い毛で目が大きく、手足が長い猿が佇んでいる。


 その猿はシャーロットを担ぐと動き出した。


 




 木が生い茂っているエリアにクリスとレイスとアラネは居た。


 レイス目は片方が琥珀色で片方は水色をしている。


「クリスさんここです。」


 クリスはレイスを見つめる。レイスは頷いた。クリスは寂しそうな表情を浮かべた。


 レイスの水色の目は琥珀色に変わった。


「いよいよだな」


「ええ」 


 クリスはレイスに握手を差し出し、レイスは応じた。


 その時、クリスの上に粉が舞い散った。レイスはとっさにクリスを弾き飛ばした。


 近くには巨大な蝶が鱗粉をまき散らしていた。鱗粉を浴びたレイスに木が近づき絡みついた。


 クリスの近くに白い毛で目が大きく、手足が長い猿が佇んでいた。クリスに襲い掛かる猿。


 クリスは刀を握り、一振りし猿を斬った。クリスはそのまま走り去る。


 残されたアラネを猿が囲む。


 アラネは歯ぎしりする。クリスの奴、私を見捨てて、逃げるなんて


 アラネは猿に担がれた。

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