『1年D組 人類再考教室』

JACK

第一日目 ホームルームの時間

第1話 『太宰、玉川上水より学び舎へ流着す』





 私は溺没した。

 暗闇に身投げし、藻掻き苦悶した先で、

 不思議な光明に引っ張り上げられた。


 如何なる書の死の描写も匹敵できぬ、

 無形の光から放たれた身が焦げる程の熱に先行きを任せた。


 深く深く、肌を溶かしながら明るみに吸われていく。


 私は遂に死ぬ。

 明るい沈黙よ、恥の多い生涯を泡沫に溶かしておくれ。









 

 しかし、光の先に待っていたものは、見知らぬ木造の学び舎であった。




 「……これは、どういうことだろうか」




 辺りを見回すと、老若男女の異邦人たちが同様に着席して、首を回していた。


 硝子窓の外には、地平線もない無限の夕暮れ。

 不思議の溢れる状況で、私が気がかりだったことはひとつだけだ。





「ああ、また死ねなかった」





と、頬杖をついて、ため息を吐いた。





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