第7話 チョロインならぬチョロ=ライナー



前回のあらすじ


  ヴィオラ、魔力適性検査を受ける。

→ 鑑定士の人が、希少属性ばかりもつヴィオラを見て自信喪失

→ 鑑定士の人が陰鬱いんうつな雰囲気でしゃがみ込む ←今ここ


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「あ、あのー……。レイク=ライナー殿?」


 私が声をかけてもレイク=ライナー氏はしゃがみ込んだままだ。

 ……うん、復活にはまだ時間がかかりそうだ。というか復活していない。

 レイク=ライナー氏が復活する前にこの世界の平均魔力について聞いておこう。


 妖精AIさんよ。この世界の平均魔力について教えてくれないか?


《はい、主様マスター。この世界の平均魔力はおおよそ100ほどかと思われます》


 つまり私の魔力はちょうど平均というわけだな?


《はいそうです。ですが主様マスターは公爵家の娘です。公爵家の魔力としては少ないかと思われます》


 そうか……少ないのか。

 どうにかして増やすことはできないのか?


《この世界では魔力暴走から生還できたときのみ魔力が増えます》


 ……魔力暴走かぁ。

 ちょっと今だと厳しいか。今後の課題としておこう。


 ――そろそろレイク=ライナー氏が復活する頃合いだろうか。

 というか復活していなくても無理矢理復活させてやる。

 もうこれ以上は待てない。


「レイク=ライナー殿、しっかりしてください」


 私がそう声をかけると、レイク=ライナー氏が陰鬱いんうつな雰囲気のままこちらに視線を向けた。


「……なんでしょうか、ヴィオラ嬢。あなたよりも弱い私など気にせずいればいいでしょう」


 レイク=ライナー氏は何を言っているんだ?



 ……話を詳しく聞いてみると、どうやらレイク=ライナー氏は私が希少属性ばかり持っていたせいで、私を馬鹿にしていたことを惨めに思っているらしい。

 何というか……正直に言って馬鹿だな。うん。

 というか、やっぱ私のこと馬鹿にしてたんだな。なんとなくそんな気はしてたよ。


「レイク=ライナー殿! 自信を持ってください! そもそもあなたの良さは魔力量の多さにあるのだから、私と比べても意味がないじゃありませんか!」

「……そうか?――いや、そうだな。それもそうだな! 私の良さは魔力量の多さだもんな! 気にする必要もないな!」


 私がそう元気つけると、レイク=ライナー氏はガハハと笑い始めた。

 チョロすぎるだろ。

 しかも猫がはがれている。


「――そうだ、ヴィオラ嬢」


 レイク=ライナー氏が、天啓を得たとばかりに顔を輝かせて言う。


「この私が直々に魔術を教えてやる。光栄に思え!」


 え、嫌だ。

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