第2話 しょーもない……


※?の後に全角アキを入れました




 

 ……ふむ。まずは整理しよう。


 気が付くと私は自分のベッドの上にいた。

 前世を思い出したために――いやオヤジギャグを言ってしまったせいか? ――ショックでぶっ倒れた私は、どうやらベッドに担ぎ込まれたらしかった。


 確か私は、布団が飛んでいるのを見て『布団が吹っ飛んだ』などという、しょーもないオヤジギャグを思い出し、前世も一緒に思い出した、と。


 ……前世を思い出した理由がものすごくしょうもない。

 なんというか……うん。前世を思い出せたのは、ありがたいんだが……。

 なんだろう。なんともいえないこの感情キモチ……。


 ――まあいい。そこはいい。

 というかそれよりも、死が確定しているモブに転生していることが問題だ。

 

 今世の私の名は『ヴィオラ=ベルベット』。

 『love diary』という乙女ゲーに登場する、ヒロインをかばって魔獣に殺されてしまうただのモブだ。

 ヴィオラが殺されるまでの物語シナリオはこうだ。


1.平民のヒロインが通うことになった学園に、ある時危険な魔獣が現れる

2.その魔獣がヒロインに襲い掛かる

3.ヒロインの友人サポートキャラであったヴィオラが、ヒロインをかばう

4.ヴィオラ死亡

5.ヒロインの聖なる力が覚醒し、魔獣を浄化


 ……とまあ、こんな感じだ。

 つまり、ヴィオラはヒロインの覚醒のための踏み台なのである。

 しかもだいぶ序盤だ。

 ヒロインが覚醒しきっていなかったために、ヴィオラは聖なる力で治癒してもらうことができず、命を落としてしまうのだ。


 正直に言う。死ぬのは嫌だ。

 まして踏み台なんて……まっぴらごめんだね。


 「さて……死なないためにはどうするか。」

 幸いなことに私はまだ六歳だ。

 まだどうにかなる……と思う。

 私は必死に策をめぐらせた。

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