乙女ゲー主人公をかばって死ぬモブに転生。死にたくないので強くなる。

藤豆

第1章 幼少期

第1話 オヤジギャグ

 


―――――――――――――――――――――――


 私が前世らしき記憶を思い出したのは、とある風の強い日、庭でメイドが布団を乾かしているときのことだった。

 その日は物凄い強風で、洗濯物が次々と飛ばされてしまっていた。


 ――そんな中、布団を乾かしていたメイドが悲鳴を上げる。

 ふとそちらの方を見てみると、布団が空に飛ばされていた。


 ――布団が吹っ飛んだ……なんつって。


 心の中でそう呟くと同時に、私の脳みそに記憶がぶち込まれてきたのである。

 ――『布団が吹っ飛んだ』というのは、オヤジギャグであるということ。

 前世で女子に大層モテていたこと。

 プレイしていた乙女ゲー『love diary』のこと。

 どうやら私が転生したらしいこと。

 そして――

 

 転生した私が、『love diary』のヒロインをかばってお亡くなりになられるモブであること。


 その事実を思い出した瞬間、

「ぴゅう……」

私の意識はフェードアウトしていった。

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