第11話 俺 配信者になる その2

時間帯も深夜に近くなった為、俺のアパートでの宅飲みもお開きにする事に。


散らかった空き缶やおつまみの袋を皆で片付けた後、俺とスノーは藍音を家まで送って行く事にした。 藍音は初めは " そこまで酔っ払ってないから1人で帰れるよ? " と言って遠慮していたが、それは駄目だ! と強めの口調で言うと何故か顔を赤らめて大人しく俺が送って行く事を受け入れてくれた。 流石に酔っ払った女子を深夜に1人で帰らせるのは倫理的に駄目だろう。それに、藍音は物凄く美人なのだから何か有ったらと思うと心配だから。


アパートを出た俺達は他愛ない雑談をしながら深夜の街を歩く。 そして間もなく藍音が住むマンションに到着。


……いつ見ても藍音が住むマンションはデカイな。それにセキュリティが滅茶苦茶しっかりしているな。 入り口はパスワードと本人の了承が無かったら入れない仕組みになっているし、常時ガードマンが警戒している。 此処なら一人暮らしの女の子が住むのは安心だ。


「じゃあ俺達は此処で。ちゃんと部屋まで帰れよ。途中の廊下で寝たりするなよ?」


マンションの入り口で藍音にそう声を掛ける。


「む~っ! そこまで酔っ払ってないし、馬鹿じゃ無いよ! 大丈夫だから! ……翔真、そこまで私の事を心配してくれるなら、一緒に部屋まで来てくれても良いんだよ?」


「アホか。俺は送り狼になるつもりはねぇよ。馬鹿な事を言ってないで早く入れ」


「……送り狼////// 今からコンビニ行かないと私そんなアイテム持ってないよ////// 知識はあるけど、初めてだから優しくしてね//////」


……やっぱり相当酔ってるなこいつ。さっさと部屋に帰って貰おう。


「ハイハイ。良い娘は早く帰って寝ましょうね~」


俺は藍音の背中を押し、マンションの入り口に押し込んだ。 そして自動ドアが閉まるのを確認してから自分のアパートに帰った。


「むぅ。翔真の意気地無し……」


そんな声が自動ドアの向こうから聞こえた様な気がしたが、多分気のせいだろう。





『……御主人様は紳士なのかヘタレなのか……分かりませんね』


帰り際にスノーがボソリと呟いた。


「ん? 何か言ったか?」


『何も言ってませんよ御主人様』


「スノー、御主人様って言うのは止めてくれないか? 何だかこそばゆいから。 スノーは俺の獣魔であり、パートナーなんだから、呼び捨てで構わないそ?」


俺はスノーの俺に対する呼び方が気になり、そう提案してみた。 しかしスノーは首を横に振り


『呼び捨てなんて絶対に出来ません。この呼び方は私にとって大切な物なんですから』


「しかしなぁ……今まで御主人様なんて言われた事無いから、違和感しか無いんだよ」


『……じゃあ " 翔真様 " で。これ以上は譲歩しません』


そう言ったスノーから確固たる意思を感じた。本当に譲歩しなさそうだなこれは。


「分かったよ。じゃあこれからはそれで宜しく」


『はい!翔真様!』




次の日の朝10時頃。 10時で朝と言うかは分からないけど。 アパートに藍音がやってきた。


「翔真~。ドア開けて~。手が塞がってて開けれないの~」


「はいはい今開けますよ。藍音、手が塞がってるって言ってるけど、一体何を持ってきたんだよ?」


そう言いながらドアを開けると、両手に大きな紙袋を持った藍音が立っていた。


「この紙袋意外に重いんだから、早くそこ退いて。じゃお邪魔しま~す」


俺を押し退けて藍音は部屋の中に入っていく。


『あっ、おはようございます藍音様』


「おはようスノーちゃん♪ 今日も可愛いね♥️」


リビングでテレビを見ていたスノーに藍音が朝の挨拶をする。


スノーは好奇心旺盛で、藍音から翻訳機を貰ってアパートに連れて帰ってからずっと目に止まる物を指差して " これは何ですか? "  " あれは何ですか? " " どうやって使うんですか? " と俺を質問責めしてきた。 俺はスノーが質問してくる度に懇切丁寧に説明した。 だからスノーはテレビの使い方や用途を知り現在に至ると言う訳だ。


「藍音、その紙袋の中身は何なんだ?」


「ふっふっふっ。よくぞ聞いてくれました!」


藍音は紙袋の中に手を突っ込み中身を取り出した。


……? 黒い球体? まるで映画 G○NTZ に出てくる指示を出してくる球体を小さくした物みたいに見えるのだが?


「なんだこれ?」


「これはね~♪ Webカメラだよ♪ 何と自動追尾機能が付いてる優れものだよ~♪ 藍音ちゃんのお手製だから機能はお墨付き♪ どやぁ!」


藍音は試運転とばかりに球体に付いているボタンを押す。 すると球体から翼がニョキッと生えて球体は空中に浮かんだ。 そして球体からカメラらしき物が飛び出してきた。


……スゲェ。 こんなの見た事無いよ。 てか、いつ作ったんだよこんな物。


「お前、こんな物いつ作ったんだよ?」


「ん? 翔真達が帰ってからかな? 配信者になるならこの位のカメラが必要でしょ? スマホじゃ心許ないし」


どや顔でそう言ってくる藍音の顔を見ると、うっすらと隈が出来ていた。


「もしかしてお前……寝てない?」


「う~ん。寝たよ? 30分位」


ほぼ完徹じゃね~か!


俺は藍音の背中を押し、ベッドまで連れて行き


「藍音、ベッド使って良いから寝なさい! 完徹駄目! 絶対!」


と指示を飛ばした。


すると藍音は顔を赤くして


「え、ええっ!? い、良いよ別に! 大丈夫だよ! 1日寝てないだけだから支障は無いよ?」


と拒否してきた。 ……こいつは強制的にいかないと駄目な感じだ。


俺は藍音をお姫様抱っこする。


「し、翔真!? な、何でお姫様抱っこ!?」


「こうでもしないとお前は俺の言う事聞かないから」


俺は藍音にそう言って藍音をベッドに寝かせた。


「寝なさい。命令だ」


「……はい。 もぅ。翔真は強引なんだから//////」


文句を言っている割には何だか嬉しそうだぞお前?


藍音はベッドに横になった後直ぐに気持ち良さそうな寝息を立てて眠ってしまった。





ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


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今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m

















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