第伍話 現実と夢

「私の予想は外れていて欲しい」。そんなことを思いながら、次の作品に足を運ぶ。今度の絵は、美術館などで行われている展覧会を描いた絵。絵の前には、一人の女性が立っている。「さっきの絵とは違って普通そうでよかった。」ほんの少し、安心した。いつも通り、紹介文に目をやる。


作品名 【ユウガオ】

私は、謎の部屋の中にいた。辺りを見渡してみると、大理石で出来ている壁に、何個もの絵画が、飾られてある。まるで、美術館のようだ。でも、なぜここにいるかは、分からずに戸惑っていたが、とりあえず探索してみることにした。

一枚目は、迷子の子供を描いた絵。二枚目は、親子が走っている絵…どれもこれも、題名はついているものの、作者は不明だ。 けれど、ある共通点があった。

それは、すべて、夢に関する絵画のようだ。どの作品にも、紹介文が近くにあるのだが、最後には、[目が覚めた]や[起きた]などの言葉が描かれている。「夢を作品にするなんて、変な美術館だ。」

残りの絵画を観ていった....これで、全部見終わったかな?私は、10分程度で残りの絵画を見終わってしまった。もう、帰ろう。そう思い扉を開けたとき……


ここで、途切れてしまっている。


私は、言葉が出なかった。ここは、“夢”を展示している。この人が、見た夢と似たようなことが、現実ここで起こっている。

ここは、夢の中なのか?違う。私はちゃんと、美術館に来ている。家からでた。電車にも乗った。夢じゃない。現実だ。夢なんかじゃ..ない。この絵を見ていると、オカシクなりそうだ。もう、ここから出よう、そうも思った。けれど、次の絵が気になってしまう。隣の絵をチラッと見た。

「....えっ」声が漏れてしまった。だって、そこに描かれていたのが

“自分だったのだから”


















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ヨルガオ サクラモチ @wsedrftgyjujikbv

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ