第十一回 バトル開始! ウチには二段変身が存在した。


 ――つまり君は、ウチにしか倒せないということだね。と、心も定まった。



 目の当たりの三メートルの巨体は、ウチのネガティブな心が具現化したもの。もしもネガティブな心をポジティブに変えたのなら、人類の未来は明るく戦争など起きないの。


 であるなら、マジカルエンジェルの使命は、ズバリ世界の平和だ。


 ウチのピンクの輝きは、ウチのポジティブな思考。そこから生まれる能力……ロケットパンチによく似た『千のスプリング・パンチ』と、声高らかに響かせる。千倍の力があるという……ミズキちゃんの『マジカル・フラワー・シュート』よりも強力だ。


 そして、何よりも身体が軽い。


 ウチの身体能力も千倍となる。飛び上がるも天井を突き破るような勢い……一応は、建物の中だから。三メートルの巨体も攻撃してくる。パンチを繰り出す。ウチと同じ傾向の技を繰り出してくる。躱す躱す躱す……当たりはしないと、ウチは胸を張る。


 二段変身は、もうすでに行われていた。


 ステッキは、形を変えた。ウチのオリジナルのアイテムへと変化したのだ。


 その形とは、剣玉。実は思い出したの、ウチの特技。剣から放たれる玉の射程距離は短いのだけれど、ウチは意外と接近戦が得意と知った。放たれる玉こそ、ウチのパンチ。


 これが必殺技となる。


 剣玉の舞こそ、ウチの戦いの型。……これによって、翻弄される三メートルの巨体。


千春ちはる君、いい顔してる。勝てる、勝てるよ」


 と、ミズキちゃんは声援を送る。……いい顔とは、窓に映るウチの顔。まるで、楽しそうに遊んでいる顔。自分の顔なのに……初めて好きになれたような気がする。


 まるで、陽春はるの光……


「やめろ、やめろ、直視できない」


 と、三メートルの巨体は言う。悲鳴にも近い声。しかめ面眩しそうに……


 ウチは初めて千春という名前の意味を体感した。この様な形をもって……



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る