第8話 買い物

 俺たちはショッピングモールへとやって来た。

 目的は、明日の朝昼の食料を調達するためだ。

 食料品売り場で籠を乗せた車を押す。


「よっし。んじゃあ、昼はあたしが作ろうかな」


 え?


艿夜にや。おまえ、料理できたのか?」


「は? バカにすんなよな。料理くらいできるっての」


 うーーん。


「バカにはしてないが……」


 不安がな。


「あ、じゃあじゃああゆみも作ります!」


 おまえまで……。

 いや、こいつはマシのような気がする。


艿夜にやあゆみちゃんの料理。楽しみ」


 やれやれ。

 なんだか妙な流れになった。


「ニヘヘーー。モッチンは何が好きなんだ?」


「まぁ、なんでも食べるがな。強いて言うなら肉と魚が好きかもな」


「よし。じゃあゼラチンを買おう」


 なぜだ?

 ゼラチンってプルプルするヤツだよな?

 1番肉と魚から遠い気がするのだが?


「期待しとけよな。ニヘヘ!」


 不安が高まった。


あゆみのはこれです」


 と、おまけシール付きのソーセージを持って来た。その箱にはアニメキャラ。


「魔法少女スターピンク……」


「このソーセージが美味しいのです」


「おまえ、シールが欲しいんじゃないだろうな?」


「ギク! ぎょ、魚肉ソーセージは肉と魚を兼ね備えていますからね!」


 こいつ、今ギクって言ったぞ。


 まぁ、俺はいいがな。

 食費は割り勘だし。


恋都莉ことりはいいか? 2人に任せて」


「うん。大丈夫」


 朝食は 恋都莉ことりが担当だしな。

 最悪、昼飯が壊滅的でも死にはしない。


 野菜や肉を4人分買い込んだあとはスイーツコーナーだ。


「プリン買おうぜ」

「シュークリーム食べたいです」

「シュガーゼロコーラも飲もう。あとポテチ」


 やれやれ。

 大盛り上がりだな。


 買い出しが終わったあとは夕食である。

 その店はモール内にある中華屋だった。


「ここは餃子が美味しいのです!」


「マジかよ。それは抑えたいけどさ。一応、お泊まりなんだぞ?」


「にんにくの臭さが 真言まことの家に充満しちゃうね」


「「「 じぃーーーー 」」」


 と、3人は俺を見つめた。

 ジャジメントタイム。

 最終審判は俺は託されるようだ。


「別にいいよ。おまえらがいいならさ」


「よし! 家主の許可が出たぞ!」

「食べましょう!」

「楽しみ」


 ははは。

 どうなっても知らんぞ。


 と、いうわけで、俺たちは中華を堪能した。

 餃子の注文はさることながら、野菜炒めにラーメン、チャーハン。

 それぞれを1品ずつ頼んでみんなでシェアする。

 なかなかに楽しい外食だった。


 ショッピングモールを出たころには随分と時間が経っていた。


「もう10時か」


「んじゃ。帰ったらお風呂だな」

「先輩の家でお風呂をいただくことになるなんてワクワクします!」

「私はこの前、入ったから」

「どうだったんだ?」

「うん。いいお風呂だった」

「わは! 楽しみですね」

「3人で入れそうか?」


 はい?


「うん。多分。ギリギリ」

「うは! んじゃ、3人で入ろうぜ」

「わぁーー! 楽しみです!!」


 ……あんな狭い風呂に、こいつらは3人で入るのか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る