感情の一騎討ちが誉

 小説、漫画、アニメに関わらず、バトルシーンが好きである。ライトノベル定義論という自分では足が嵌まり込んでしまいそうな話題があるけれども、個人的には後半に向けての疾走感がある小説がライトノベルという感覚を持っている。自分もライトノベルが好きで、そういうものを書こうと考えている。


 この後半の疾走感は、子供の頃の、児童文学から踏み出そうとしていた自分にとって、児童文学とライトノベルを分けるものだった。お話の立て方が、アニメや特撮のような30分番組に近いのだと思う。(一般的には、出版社が出すレーベルによってライトノベルは分類されると考えた方が正しい)。


 そういうわけで、後半の疾走感が好きである。前半にできるだけ世界観を書いたので、後半はテーマ重視で走ってしまっていいか……と作ってみたら、そうした前後のトーンの違いをご指摘受けたこともあったので、今後はしっかり世界観のディティールを最後まで書いておこう……と反省したけれども。


 ライトノベル的な物語の疾走感を出すなら、やはりバトルシーンである。主人公と、対する者の感情がぶつかり合う瞬間に、物語は盛り上がりのひとつのピークに達する。バトル脳なのでなかなか思い浮かばないが、物語の盛り上がりのピークは他の箇所にもあるのだろうと思うので、何を一番書きたいかは人によるけれども、自分ならバトルシーンを選ぶ。お話の中の日常描写は、そこに至るための積み上げである。


 まあ……なんというか……ひっくり返すようだが、バトルシーンはバトルでなくともよい。推理で犯人を追い詰めるシーンでもいいし、恋愛ものなら相手の心に迫るシーンだし、R18ならそういうシーンである。そこに感情のぶつかり合いがある。はじめにバトルシーンと書いたが、そう考えると感情がぶつかり合うシーンが書きたいということであった。


 そういうピークの部分でなく、日常描写がひたすら好きという方もいると思うし、関心を持つ所は色々だと感じる。ただ、ライトノベルの作家さんはこういう物語のピークを書くのが得意な方が多いのではないかと思う。


 もちろん最初から最後までピークの波が緩やかな文学も沢山あろうし、どれもこれも30分番組やハリウッド映画みたいな作品立てをしている必要は無いのだが、一人の人間(読者)が育ってゆく過程を考えると、絵本から児童文学、一般文芸や参考書と順々に昇ってゆく階段の途中で、ライトノベルはこうした物語のピークの鮮烈さというか、味の濃さというか、つまり後半の疾走感……そういったものを提供することで対象読者の若者を、読書の世界に引っ張り込む大事な役割があるように思う。


 だから後半の疾走感がライトノベルの特徴である。

 ということに、ここではしておく。自分はそういうライトノベルが好きなので、そういうものを書こうと考えている。バトルシーンが好きである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

わたしの創作論 畳縁(タタミベリ) @flat_nomi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ