第19話 S軍

博士はウォーリーに銃を撃ったあと、自分の頭部にも銃を撃った。


ウォーリーの視界にヒビが入ったため、あまりよく見えなかった。
















ウォーリーは目を覚ました。


「ここは………?」


「目を覚ましたか」

「あなたは?」


佐藤さとう達也たつやだ。佐藤博士と呼んでくれ」


「ここは?」

「ここは地下室。S軍のロボット治療室だ」


「……え?」


「ハハ、S軍はY軍でもM軍でもない勢力。つまりは、宿題なんていつ終わらせたって良い。

1番大事なのは、その夏を楽しむこと派だな」


「へぇ、7月中か最終日に終わらせなくてもいいんですね。人間の選択肢は無限大ですね」


「そうだろう。それに比べて、君たちロボットは可哀想だ。やれと言われたことしかやってはいけない。

選択肢のない人生を生きるしかないということ。

壊れても、直される、無限地獄でなぁ。

けど君は偉い!ロボットなのに人間に抵抗できた。ロボットに選択肢という概念を作り出した」


ウォーリーははっとした。

確かに自身も殺戮兵器になるしかない人生だったのだ。

それを自身で抵抗したのは、ロボットに選択肢という概念を作り出したということになる。


「M軍はどうなったんですか?」


「M軍はY軍に潰されたよ…、というより、相打ちだな。Y軍も1人残らずやられたらしいし」


「……全滅……?」


ウォーリーの脳裏にロイやラリー、レイ、ベッキー、アリーナ、あと変態掃除担当がよぎった。


「……………全滅…か。

あっ、あとデカい正方形のロボットはいませんでした⁉︎」


「いたよ。いたけど……、時すでに遅かった。彼は壊れていたよ」


ウォーリーはしばらく何も言わなかった。






「…昼ごはんにしようか」


場を和ませようと佐藤博士はオムライスのおにぎりを出した。


「オムライスのおにぎり…………ロイ…、あいつに謝ってなかったな」


「………もしかしてそれ、嫌い?」


「いや、別に……いただきます」


ウォーリーはオムライスのおにぎりを食べた。


「源博士と山田博士は?」



「彼らも死んだ。源博士は君も見ただろう。

山田博士はM軍の抵抗の際、流れ弾に当たって死んだな。どうやら源博士の死体を見るために来たらしいが」


「山田も趣味悪いな」


「私たちS軍はY軍とM軍の後処理を行うつもりだ。君も手伝ってくれるかい?」


「はい」

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