マッチングアプリで友達の友達がきちゃって気まずい女

リオル

第1話マッチング

この間の飲み会にいた人だ、改札から出てくる彼の姿を観た瞬間に分かった。


確かあれは3週間前、

友達の夏美とごはんしてた時、急に夏美の彼氏さんが合流することになり、そこに一緒についてきてた彼氏さんのお友達だ。


どうしよう、メッセでやり取りしてた時には全く気付かなかった。

このまま気づいてないふりをするか、さっさと言っちゃおうか。

「すみません。香苗さんですか」

「あ、そうです…」

「あー、良かったです。すみません、お待たせしちゃったみたいで。初めまして、健太です」

彼は少し照れたような笑顔で軽く頭を下げた。

「あ、こちらこそ初めまして。メッセージでは話してたけど、直接お話すると、なんか照れちゃいますね」

当たり障りない会話をしながら、彼の様子を伺う。

彼は人懐っこそうな笑顔を見せつつ、「じゃあ行きましょうか」と予約してあるお店の方へ歩き始めた。

おそらく、彼はまだ私に気づいていない。


さて、どうしよう。

「この前の飲み会でお会いしましたよね」

と言いそびれてしまった。

いや、まだ間に合う、お店での最初の会話に持ってくるのは違和感はないだろう、

乾杯直後のイニシアティヴを取るのだ。

ただ彼が気づいていない現状で、こちらから素性を明かすのが本当に正しいのだろうか。

正直、気づかれていないなら明かしたくはない。

自分でやっておいてなんだが、マッチングアプリをしていることはなるべく身内に漏らしたくない。

健太さんに伝わるということは、時期に彼氏さん経由で夏美にも知られるだろう。

できるならそれは避けたい、恋愛に焦りなんか感じていない女を気取りたい。

彼氏さんと幸せそうにしている夏美に劣等感を覚えていたことなんて、絶対に悟られたくない。

自分が時代遅れだという自覚はある、だけどそう思ってしまうんだから仕方ない。


更にここで重要な点は、私の中で健太さんはなしではないということだ。

いやむしろ、割とありな部類だ。

知り合った後、順当に二人でのご飯をし、2,3回目のデートで告白されていれば間違えなくOKしていた。

だが、だからこそ今困っている。

友達の友達だったからという理由で切り捨てるには、健太さんはちょっともったいない人材なのだ。


こうなったら、健太さんとは恋人になり、かつマッチングアプリで知り合ったことは秘密にしてもらえるようお願いするしかない。

そのためには、そう、彼の弱みを握り説得(脅す)ことだ。

そう決意した私は健太さんを追いかけるように歩き始めた。

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マッチングアプリで友達の友達がきちゃって気まずい女 リオル @SMitsukawa

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